夜勤病棟の女神様(仮)

ひよっこナースの日常

第112回看護師国家試験 予想問題3問(看護師(17)編)

今回はコロ休みを利用して早めに作ってみました。第112回看護師国家試験、予想問題3問です。

昨年までの分はこちら。

今回112回からは出題基準が変わり、厚生労働省医政局看護課『保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版』が適用されます。示されている概要から注目すべき点を挙げますと。

【必修問題】

○習熟度や難易度を考慮して、必修問題として問うべき内容の精査を行った。また、年の教育現場及び臨床現場の実態を踏まえ、感染防止対策に関する項目の充実を図った。

「習熟度や難易度を考慮して」とあえて書いてあるのは何なんですかね。ちょいちょい出る難度を理由にした採点除外等を減らしていこうという意気込みでしょうか。あれ、点数調整用だと思っていたんですが、違うんですかね。

「感染防止策」は言うまでもなくCOVID-19の影響でしょうね。今度こそ個人防護具の着脱順が出る、かも知れない。

【在宅看護論/地域・在宅看護論】

○改正後のカリキュラムでは、「在宅看護論」が「地域・在宅看護論」に変更となり、科目の位置づけも変更となるが、改正前のカリキュラムの「在宅看護論」と改正後のカリキュラムの「地域・在宅看護論」の双方において適用する内容とするため、制度改善検討部会報告書における「看護師国家試験の試験科目を改正する省令(保健師助産師看護師法施行規則の一部を改正する省令)が施行されるまでの間、出題基準に『在宅看護論』を併記することが必要である」との指摘も踏まえ、表題を「在宅看護論/地域・在宅看護論」とし、位置づけは改正前のカリキュラムにそろえることとした。

○地域における多様な場における対象者や看護の役割の拡大を踏まえて項目の充実を図った。具体的には、地域・在宅看護の対象である在宅療養者及び家族の特徴と健康課題について、対象を取り巻く環境や地域での生活を含めた理解を問うとともに、地域における多様な場での看護の役割や多職種連携について、全体的な体系の再構成を含めて項目を整理・追加した。

最大の変化は在宅。科目が変わっていますからね。示されている「保健師助産師看護師法施行規則の一部を改正する省令」によれば国家試験への適用は来年、第113回からです。なら今回は関係ないかというと、そもそも科目が変わったところで教科書が変わっていないという現実があり、要される内容としては今回も次回以降も、もっと言えば前回も変わらないのでしょう。「項目の充実を図った」って言い方もありますし、問題数として増やすってことかな。そもそも厚労省は半ば慢性的な高齢者医療の提供場所を病院から自宅に移したがっており、在宅の問題は増加していくだろうと見られていたので既定路線ですね。ただ、問題にするとなると制度中心にならざるを得ない内容に感じますので、どう出してくるのかは見物かなと。その辺を織り込みながら予想もしたいですね。

さて、今回は学位取得に向けて新たな教科書を読んだりもしましたので、そこで気になった(と記憶が残っている)あたりで問題を作っていきましょう。

予想問題1 老年/地域在宅

問題1

対象者を一人の人として尊重し、その人の立場に立って考えて行われるケアはどれか。

  1. ベストサポーティブケア
  2. パーソンセンタードケア
  3. レスパイトケア
  4. エンドオブライフケア
  5. グリーフケア

正解1

2

解説1

まあ正解の通りですとしか言いようがないのですが。Thomas Kitwoodのperson-centered careです。内容的には老年と地域在宅にかかってくるところなので、出題基準的にも大変おいしいところかと思います。

1, 2は国家試験ではまだ出ていないはず。逆に3, 4, 5は出ていますね。

Best supportive careは看護学生的にはなじみがない言葉かも知れないのでこの機に押さえておきたいところ。要は緩和ケアなのですが、流行り廃りの問題で今の現場ではBSCと言われることが多いと感じます。私の学生時代にはpalliative care/therapyという表現で見かけました。それぞれ根っこが異なるものの、現時点で行われることは同じく緩和ケアです。

予想問題2 看護学全般

問題2

バイオサイコソーシャルモデルにおけるバイオの側面に該当する患者状況を示す情報はどれか。

  1. IADL
  2. 生活の満足度
  3. 住環境
  4. 友人関係

正解2

1

解説2

BPSモデルとも呼ばれるらしいですよ。まうまう。

1がバイオ、2がサイコ、3, 4がソーシャルに該当します。患者に関する情報はなんであろうとこの3つの側面のどれかに該当してしまうので、適切/不適切を問う問題は作りにくいですね。そこがこのモデルの価値でもあるのですが。

Biopsychosocial modelはGeorge Libman Engelが1977年にbiomedical modelに対する形で提唱したもの *1 で新しくもないのですが、私が看護学生だった頃の教科書で見かけた覚えがありません。国家試験問題でも見たことがありません。ざっととぐぐった感じですと、日本では2010年代後半から流行っているんですかね。今年度履修した精神看護学には出てきており、地域在宅や統合も含めあらゆる領域に関わってくる考え方でもあるので予想問題にしてみました。

なお、カタカナでは「バイオ・サイコ・ソーシャルモデル」と書かれることが多いようですが、上述の通りbiopsychosocial modelですので「バイオサイコソーシャルモデル」あるいは「バイオサイコソーシャル・モデル」が適当でしょう。

予想問題3 地域在宅/統合

問題3

自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、損害を最小限にとどめつつ、ケア等の事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画はどれか。

  1. アドバンス・ケア・プランニング
  2. ビジネス・コンティニュイティ・プラン
  3. 新エンゼルプラン
  4. ゴールドプラン

正解3

2

解説3

「事業継続計画 <BCP>」って表記になるだろうなとは思いましたが、ACPが「アドバンス・ケア・プランニング」として国家試験に出てきていましたので揃えてみました。Google先生に聞いてみると、世間では意外と「ビジネス・コンティニュイティ・プラン」という表記もなされているんですね。なお、問題の定義文には中小企業庁1.1 BCP(事業継続計画)とは」の説明をほぼそのまま使っております。

BCPはあらゆる事業にあってしかるべきものなのですが、看護を含む医療方面ではやや弱い印象があります。どうしてもIT方面を念頭に置いてしまうためそう見えるのもあるのでしょうが。実際に現在のCOVID-19大流行により事業継続が困難な状況が生じているところを見るに、やはり弱いのでしょうね。流行度合いから手が空いた時期もあったのに何をしていたのかなと。

看護方面では訪問看護BCPという言葉が出てくる頻度が高いようで、領域的には地域在宅で扱われています。看護管理でも出てくるよねと積まれた医学書院の教科書『看護サービス管理 第5版』を見てみましたが、索引には出ていませんでした。お寒い事業継続状況の原因はこの辺かも知れません。この現状が望ましいはずもなく、国家試験で問われる可能性はあると予想します。

いつものおまけ

マークシート試験ではちょっと高級な鉛筆がおすすめ。軽くなめらかに太い線が描けます。結果として早く試験を終えられる、つまり、集中力が高いままに問題を解ける可能性が高まるのでこの道具選びは重要。

鉛筆3本と消しゴム1個、手堅く1勝した昨年の私も同様の布陣で挑みました。

製品出荷状態では鉛筆がしっかり削られていますが、前日にでも、当日試験会場ででも、サラサラと線を書いて丸めるべし。マークする部分は結構面積ありますから。

今回の予想問題記事はここまでです。受験生のみなさん、試験終了まで何卒ご安全に。

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脱げばわかる、救急車を呼ぶべきか

COVID-19大流行の最中、タクシー代わりの救急ではない救急要請、119番が救急現場を困らせているとのニュースはみなさまご覧になったことがあるかと思います。本当に困りますね、なんて言うと決まって「どんなときなら呼んでいいんだよ」的な反応があるんですよね。そして救急車を呼んだ方がよかった経験談が並べられ、やっぱり念のために呼んだ方がいいみたいな流れに。それでは現状は変わらない。どんなときなら救急車を呼んでいいのか。私は今日、その問いに明確な回答をいたします。

An ambulance is coming

全裸であっても救急車に運んでほしいか

これです。本当に救急救命が要される場面では全裸だろうとコスプレ中だろうと救急車に運んで欲しいですよね。何であれ、死ぬよりはましというやつです。

踏まえて、救急要請の妥当性判断の基準として「全裸でも救急車に運んで欲しいか」、「服を脱がされるが救急車に運んで欲しいか」と考えてみましょう。実際に服を脱がされることはそうありませんが。

実はこの基準、惨憺たる現場の逆説的な話なんです。しっかりと身なりを整えて救急車に乗ってくる人っているんですよね。消防、救急車は119番を呼んだ自称要救助者を無視することができません。そこを悪用してのタクシー代わりなのですが、タクシー代わりにしている人にはその自覚がない。なんて指摘されると、御仁は「どんなときなら呼んでいいんだよ」と偉そうに言うわけですよ。返してやりましょうよ、着替えられないなら呼んでいいと。

もちろん物事には例外があります。特に交通事故や転落事故等の外部から強い力が加わる外傷、高エネルギー外傷では無条件で、たとえ無傷に見えて元気に動けても救急要請しましょう。

ちなみに私は旅行中、顔面冷たく、冷汗しっとりという状態で倒れ込んだことがあります。そのときは見事に裸だったのですが、回復しなければ救急車だなと思いつつ心配したのは携帯電話に手が届かないってことでした。やっぱり服のことなんて考えませんよ。幸いそのときはおそらく迷走神経反射で、しばらく倒れていた後に回復したので救急要請しませんでしたけど。それがよいかどうかは別の話。


ナース服を着たまま運ばれてきても何ら問題なく対応いたしますのでご安心ください。

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コロったってことはzero trustなんだよ

ついに私もコロってしまいました。寒さに引きこもっていたぼっち本格派なので、どこで感染したのかは明らかですね。

さて、いざ感染してみて己の行動、組織の感染管理はどうだったのかなってのを振り返ってみると、改善すべきことを3つ思いつきます。

  1. 換気は重要、万難排して行え
  2. マスクを着けよう、患者にも
  3. 感染管理はzero trustで

換気は重要、万難排して行え

特別な設備がない環境でできる感染拡大予防策は換気だけ。そして換気は効果が大きい。WHOも明言している。

  • Ventilation is important: Open windows when indoors to increase the amount of outdoor air.

(World Health Organizaiton "Coronavirus disease (COVID-19): How is it transmitted?" より)

今時の病院であればまともな空調、換気システムが入っているのでしょうが、まともな設備がない病院もありますよね。そんなところなら代わりに窓が開けられることでしょう。真冬に窓を開ければ冷たい風が入ってくるし室温は下がりますが、半袖の制服で作業できる程度にしておけばいい。大切なのは換気されていることです。*1

ええ、私は窓を開けるんですけど、閉められちゃうんですよ。

お前が寒いとか、寒くて患者が可哀相とか、お気持ちで行動を決定してはならない。多少の室温低下が患者の病状に悪影響を与えることはありませんが、COVID-19に罹患してしまえば言うまでもありません。最悪死にます。

それでもお気持ち派が強い理由ってのは何でしょうね。少なくとも彼らにとっては治療、早期退院が最優先ではないようです

マスクを着けよう、患者にも

自分では常にサージカルマスクを着けていますが。患者はどうかというと、着けていない方もいますよね。と言うか、着けても外すんですよね。どういうこと? って思われる方もいるかと思いますが、認知機能の低下によるものなんでしょうね。マスクを着ける理由も理解していただけませんし、着けるようお願いしても外します。

でも、とにかく着け直し続けないとならなかった。COVID-19の流行がなければ、まあ放っておいても大事には至らなかったんです。その癖が抜けていなかった。

  • Masks are a key measure to reduce transmission and save lives.

World Health Organization "Masks are a key measure to reduce transmission and save lives." より)

看護師的には食事介助ではどうしてもマスクを外した状態の患者と関わらざるを得ませんが。感染の可能性は極力低減しなくてはならない。あきらめたらそこで試合終了だよ。

感染管理はzero trustで

上述も含めこれに尽きる。

病院における感染管理って未だに境界型セキュリティ(perimeter security model)なんですよ。グリーンゾーン(trust zone)、イエローゾーン(dmz)、レッドゾーン(untrust zone)とかやってる。もちろんこの考え方を全面的に否定するつもりはなく、適用していて構わないと思うのですが。殊にSARS-CoV-2について言えば、これだけでは不十分であることが実績として表れています。trust zoneにCOVID-19罹患者が現れるのですから。つまりtrust zoneでSARS-CoV-2が闊歩している。そして予期せぬ院内感染拡大を起こす。

院内感染管理にzero trust modelを導入しない限りこの状況を改善することは難しいでしょう。え? 境界のセキュリティ強化? いや、現実を見ようよ、目の前で起こっていることが現実。zero trustになってるのですよ。

具体的には上述2点を組織的に徹底していくのはもちろんのこと、看護師を始め医療スタッフ側はN95マスクを常時装着して患者に接するのが適当だと考えますが、いかがでしょうか。N95マスクはそりゃ高い。Amazonでざっと見ても、サージカルが15円/枚に対してN95マスクは300円/枚。それでも医療スタッフが欠けたと大騒ぎするより、医療スタッフを介した院内感染を起こすよりは安いと思うんですけどねぇ。少なくとも、試してみて費用と効果を見るくらいはすべきでしょう。

患者側はリスクベースで継続的な検査をしていくことでしょうか。感染管理の目標は予期せぬ感染を起こさないこと。感染の可能性が常に評価され、可能性が高まったときに検査できていれば、生じるのは予期した感染。予期せぬ感染および感染拡大は防げます。個室なのか多床室なのか、入院何日後か、病棟から出たのか、病棟外の人と接触したのか、話したり叫んだりするのか、マスクを外すのか等、様々なリスクファクターを考慮して頻度を決めて検査したらいいんじゃないですかね。結果をリスク評価にフィードバックしていけば状況はよくなることでしょう。尤も、同じチェックリストを使い続け同じ過ちを犯し続け同じ「もっと確認する」的な対策を立て続ける世界で、これが実現可能かは費用よりも難しい何かがありそうですが。

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*1:看護の教科書的には窓を開けての換気は推奨されません。皮肉にも感染症対策として。虫やら何やら入り得るので。

年越し宗谷岬、今年もどうかご安全に(360日後だけど)

あけましておめでとうございます。昨年末から元旦にかけては暖かめだった(と言っても氷点下)稚内ですが、2日から本気を出してきましたね。道内各地での降雪量も増えているようです。

さて、そんな穏やかな年越しでしたから稚内は大賑わい。街は相変わらず寂しい感じでしたけど。宗谷岬が大賑わいでした

例年「年越し宗谷岬」のために全国各地からバイクに乗った人たちが集まってきます。自転車や徒歩というさらなる強者も。そりゃもう気持ちはわかるんですよね。夏になれば私もバイクに乗りますし、今年は私も徒歩で年越し宗谷岬でしたし。

Untitled

胸部プロテクター重要、胸を失えば人は死ぬ

私も好きだからこそ伝えたいことがある。胸部プロテクターを装着しましょう。近年のライダー向け安全啓発では散々繰り返されていることなのですが、これ、病棟看護師的にも本当に重要だと感じます。夏も冬も、胸郭に受傷して救急搬送されてくる人はいるのですよ。

毎度挙げられるデータですが、警視庁「二輪車の交通死亡事故統計(2021年中)」によれば過去5年間の死亡事故における致命傷部位の1位が頭部(48.7%)、2位が胸部(28.0%)。ここまでで全体の3/4を占めます。実はこのデータは都内のもの故に死者の半数を通勤中が占めるという特殊なものではあるのですが、胸部外傷が危険なことはどのような状況下でも変わりません。

いいですか、その部位が失われたことを考えてみてください。

  • 頭が失われる → 死ぬ
  • 肺が失われる → 死ぬ
  • 足が失われる → 死にはしないかも

こういうことです。「胸部」と言われるとピンとこないかも知れませんがそこには肺や心臓が入ってるんですよ。事故で受傷したら最悪、呼吸ができなくなると言うことです。

バイクをやめろと言う看護師よ滅べ

看護師は学生時代に必ず「全人的に患者を診る」とか「患者の生活を最優先に」とか習います。学生時代どころか大抵の病院の看護部はそんな感じの看護目標すら持っています。それにもかかわらずバイク事故で入院してきた人を見ると「危ないから乗るのやめたら」的な話が出るんですよね。お前ら自分が何を言ってるのかわかってるのかと。

バイクが危険な乗り物であること、年越し宗谷岬が難しい挑戦であることは乗ってる連中が一番よくわかってる。それでも好きでやってるわけですよ。看護師が考えるべきことは如何にすれば危険を低減できるか、再来院を回避させられるかでしょう。

私も事故経験者ですからあまり偉そうなことは言えませんが、バイク事故の患者がいると聞けばバイクや装備について聞きますよね。踏まえて、この3点は伝えたい。

  • タイヤはケチるな
  • ヘルメットはフルフェイス
  • 胸部プロテクターを装着しろ

胸部プロテクターの装着率が上がってきている主な原因がバイク仲間からのすすめという話もある*1ので、目新しいネタでもありませんが書いてみました。


RSタイチのジャケットを着ていたときに使ってた。昨秋からジャケットをクシタニに変えたのでプロテクターも変えた。

ジャケットに装着するタイプが一番手軽だと思うけど、装着方法が各社バラバラなのが何とも。JMCAにがんばって欲しいところ。マジックテープを貼ったり、スナップボタンをつけたりすれば何となく互換性は出せるみたいですけどね。

え? 高いって? 3,000円台からあるから、本当に、絶対、着けた方がいいって。

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看護師国試必修、統計問題はだいたい3割

今年も看護師国家試験が近づいてきました。たまには事前に受験生お役立ちネタを。

多くの統計問題の正解が約3割

国家試験の必修問題では公衆衛生に関する統計についての問題が結構出ます。ちょっと数えてみたところ。

  • 2021年度 111回: 午前 4問, 午後 1問
  • 2020年度 110回: 午前 2問, 午後 3問
  • 2019年度 109回: 午前 3問, 午後 3問

必修は午前、午後、それぞれで8割の正答率を確保する必要があり、誤答が許されるのはそれぞれで5問ずつ。そんな中で統計問題はそれぞれで2, 3問ずつ出ているのが常で、落としたくない問題と言えます。111回午前などは4問も出ており統計問題を全部落としたら極めて厳しい戦いとなるわけです。

一方で看護学生は苦手ですよね、統計。看護学生に限らず、看護師もこういった数字が苦手な印象です。数字を見ただけで「無理」って思っちゃう人が多いみたいですが、この手の数字はまずザックリ「だいたいn割」と捉えることが大切です。

そして看護師国家試験について言えば、「だいたい3割」の問題がとても多い。こんなにある。

  • 高齢化率(28.9%, 2022)*1
    • 年少 1割、生産年齢 6割、高齢 3割
  • 高齢者世帯の割合(29.0%, 2021)*2
    • 高齢者世帯「65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに 18歳未満の未婚の者が加わった世帯をいう。」
    • 高齢者のいる世帯ではない
    • 高齢者のいる世帯の割合(49.4%, 2022)*3
  • 高齢者のいる世帯のうち単独世帯(28.8%, 2021)*4
  • 高齢者のいる世帯のうち夫婦のみの世帯(32.0%, 2021)*5
  • 死因別、全死亡者に占める悪性新生物の割合(26.4%, 2021)*6
    • 1位 悪性新生物の半分の割合で2位 心疾患、さらに半分の割合で3位 老衰、4位 脳血管疾患、5位 肺炎
    • 死亡150万人、出生80万人。死亡者数は急な右肩上がりなので要注意
  • 有訴者率(30.25%, 2019)*7
  • 男性喫煙率(27.1%, 2020)*8
    • 国試的には数字が悪く、肺癌の原因になり得る男性が問われる
    • 喫煙率 16.7%、女性喫煙率 7.6%
  • 単独世帯の割合(29.5%, 2021)*9
  • 合計特殊出生率が最も高い母の年齢階級(割合ではないが、30-34歳, 0.4820, 2021)*11

つまり迷ったら「だいたい3割」を選ぶべし。


『国民衛生の動向』の主要読者は看護学生に違いない。

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病院は公金で経営される1号営業店か

市立稚内病院で再び、そして三度の集団感染があった旨、稚内市より発表がありました。一度目は今年8月、すでにネタにしております。今回はこれの続き的な話。稚内で病院に求められているらしいこととは。本来病院が患者とともに目指すべきこととは。稚内で病院が目指していることとは。

二度あることは三度ある

集団感染、再びの12月11日。

 令和4年12月11日に、同一病棟の職員6人及び入院患者16人の集団感染が確認されました。


(市立稚内病院「新型コロナウイルス感染症の集団感染発生に伴う診療制限について 」より、2022年12月12日閲覧)

三度は12月13日。

 令和4年12月11日の集団感染発生に伴い、診療の一部制限を行っておりますが、今般12月14日に、新たに別の病棟で職員1人、入院患者7人の集団感染が確認されました。


(市立稚内病院「新型コロナウイルス感染症の集団感染拡大に伴う診療制限の強化について」より、2022年12月15日閲覧)

一度目と異なり平常運転で翌日に発表したことは評価してよいかと思いますが。平常運転にできた理由が発表中に含まれているような気がしないでもありません。一度目の発表では「院内感染」と表現されていました。そして院内感染は職員から患者へと生じたように読める内容となっています。一方、再び、三度となった今回は「集団感染」との表現。真相は存じませんが、当然、作文担当者や承認者はここの表現に細心の注意を払いますよね。また前例との差異についても十二分に検討しますよね。踏まえて推測するに、彼らの基準で言えば8月の不祥事に対して、今回は不慮の事故という状況なのかも知れません。

市民も経営陣も医療最優先ではない病院

さて、前回は病院糾弾の急先鋒たる稚内プレスがだんまりでしたが。今回は報じました、けど、発表から1日遅れで2面です。2面しかない新聞で2面です。内容は概ね先に引用した発表のまま。関心が低いなぁ。*1 *2

三度を報じた12月16日付の同紙、1面コラムでもこのネタを扱ってはいますが。

 市立稚内病院でまたぞろクラスターが発生した。コロナ禍で2年10カ月の間、感染者が入院するも医師や看護師らスタッフの頑張りで集団感染起こさず耐えてきたが、オミクロン株の感染力はかなり強烈で、さすがに息切れしたのか

稚内プレス「天北堆」より)

え、先述の通り8月に集団感染やってますよね。稚内の基幹病院での医療について興味が薄いようで。*3

稚内プレスを稚内市民の総意と考えるのはどうかと思いますが。一つの代表意見として捉えることはできましょう。他にもそれっぽいものがあればよいのですが、残念ながら入手できておりません。

同病院で新型コロナウイルス感染症の専門病棟が設置されたのは2020年4月24日*4、2年半以上も前です。そして今、集団感染を繰り返している。結果的に病院の経営陣はthreat management、infection controlを行ってこなかったと言うことです。病気の治療こそが本業であるはずの病院で、病気を余計に発生させることを許容してきた。医療への興味が薄いようで。

では稚内市民は、病院経営陣は病院における何に興味を持っているのか。接待ですよ。地元新聞では「言動と目の優しさである。医療に携わる者は〝天使〟のようあらねば」と書かれ望まれ、経営陣の一角たる看護部長は「人の気持ちに寄り添い、患者様が何を望んでいるかを分かってあげられる」*5とおっしゃっています。

市立稚内病院は病棟入院基本料を急性期一般入院料1で届け出ている*6、お上の定めるところによれば重症者の治療のための病院です。医療、治療より接待を求めるのは公金の目的外使用を求めるのと同義、接待重視の経営は公金の目的外使用そのものではありませんか。

医療を最優先に考えていない患者がいてもそれはそれで構わないのですが。医療を二の次とする経営により発生した集団感染に巻き込まれた、医療を最優先に入院した患者、医療のために尽力する職員は何を思うのでしょう。

彼らに深く同情するとともに、経営が是正されることを願います。COVID-19だけに絞ってみても2年半掛けてこれなのだから、もう、現経営陣には辞任しか道がないのでは。

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悪魔の所業か天使の御業か

賛否両論の中でのデビューとなったCOVID-19治療薬、ゾコーバ。医療現場からはどちらかというと否定的な声が聞こえてくる印象で、私も同様に考えている面があります。しかし実は多くの医療現場にこそ重要な薬なのだという一風変わった話をお届けいたします。

発熱外来を過熱させるゾコーバ

ゾコーバの詳細はGoogle先生にでも聞いていただくとして、治療効果として押さえておきたいのは2点。

  • 重症化リスクの低い罹患者に使える(いわゆる持病のない成人等)
  • 投与によって症状が出る期間を概ね8日から7日に短縮できる

これを見ただけで「本当にいらない薬だわ、あと1日ゆっくり寝てりゃいいでしょ」と思うのですが。「元気にコロナコロナおっしゃる方々に人気が出るな」とも思うのです。

この特徴、何かの薬に似ていませんか。

そうです、インフルエンザ治療薬のタミフルですよ。

  • 重症化リスクの低い罹患者に使える(インフルエンザ以外には病気のない成人等)
  • 投与によって症状が出る期間を概ね4日から3日に短縮できる

上述のコピペでタミフルの特徴が書けちゃうほどです。タミフル(および競合のゾフルーザ等)は言うまでもなく日本国内でバカ売れ。持病のない元気な成人にも大人気です。

この歴史を踏まえればゾコーバが大人気になるのは目に見えています。

都道府県では発熱外来の負荷を軽減するためCOVID-19の自己確定診断を可能にしたのに、ゾコーバ欲しさに発熱外来に押し寄せる連中が出現しますよ。発熱外来担当者にしてみれば悪夢。さらにゾコーバはタミフルと違い、現時点では扱える病院や薬局が非常に限られる薬です。タミフルを含め外来で処方する薬はお近くの調剤薬局で買うことが一般的になっていますが、ゾコーバは院内で出さないとならない地域も多くあるのでは。先行するパキロビッドの取り扱い実績がゾコーバ取り扱いの要件ですが、要件を満たせる薬局はどの程度あるのだろうか。こりゃ院内の薬剤部にも被害が及ぶわけですね。なんて恐ろしい子

ここで患者向けの話を挟んでおくと、持病のない成人であればゾコーバなんてもらいに行かず家で寝ていた方がいいですよ。お約束、ゾコーバあり/なしの比較表を貼っておきましょう。

内服品 ゾコーバ お菓子やジュース等、好きなもの
自宅療養期間 最低7日間 最低7日間
おいしい
好きなものを選べる
病院に行く時間の節約
院内感染の完全な予防
薬剤副作用の完全な予防
国民医療費削減への貢献
耐性ウイルス出現予防への貢献
治療費 約1,000円~*1 0円
あの子に看病してもらえる可能性*2

それでもゾコーバが医療現場に重要な理由

医師によってはその微妙すぎる効果故にゾコーバはいらない薬だとおっしゃったりもするようで。実際に私も耳にします。しかし視野を少し広げますと、ゾコーバは医療従事者、特に医師にとって重要な薬でもあるのです。

ゾコーバを開発したのは我が国が誇る製薬会社の一つ、塩野義製薬です。その開発には劇的な短期間とは言え2年を要し、言うまでもなくそれなりの金がかかっていることでしょう。そしてこのたび緊急承認に至ったゾコーバを、日本政府が100万コース分まとめ買いします*3。購入価格は非公表ですが、先行するMerckのラゲブリオを1370億円で160万コース分購入したこと*4を考えると結構な金額でしょう。1コース単価を同等の85,625円とすると856億2500万円の金が動きます。

この莫大な金の動きが優れた医療には必要なのです。経済なくして医療なし。高度な医療は高度な経済の上に成り立つもの。整った医療設備はもちろん、ゾコーバ不要論を唱える医師の高給を支えるのも強い経済、莫大な金の動きです。

ゾコーバの緊急承認に際して、ゾコーバを否定することが患者あるいは患者候補の市民から大多数の支持を得る主張になるとは考えにくい。タミフル人気から考えても(僅かでも)治療効果がある薬をなぜ否定するんだという反応が主流派と考えてよいでしょう。そのような推測をなし得る中で、ゾコーバを否定する意味は何か。おそらく彼らには医療全体が見えていないのでしょうね。短期的に発熱外来の負荷を軽減するという点でその否定は有効でしょうが、中長期的な医療の高度化に対しては無効であるどころか逆効果なのです。医療による市民の健康を求めるならばどうすべきか。まさに今は残念ながらと言うことになりますが、ゾコーバを歓迎すべきです。

尤も、健康とは何か、高度な医療を受けられることが健康と繋がるのかという根本的な問題は別にありますけどね。


自己隔離や災害に備えて、日持ちしつつも日頃から食べてもおいしい好物を在庫しておくとよいですよ。と言い訳して先週買ったんですが。もう3箱食べちゃったよ。やっぱりおいしい。

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*1:公費負担対象外があり初診料等は自己負担

*2:ゆっくり寝ている期間に準ずる。あくまで可能性。隔離? んー、感染は宅内で広がっているのが現実ですからね。

*3:塩野義製薬新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬「ゾコーバ錠125mg」の 緊急承認制度に基づく製造販売承認取得について

*4:毎日新聞飲み薬承認、コロナ対策の決定打になるか 各国評価には温度差も