113回の中で最も一般に盛り上がりそうな問題が今回の肴。104回午後59には老人ホームにいながら恋して再婚検討中って話がありましたね。今時の70歳像を提示しているのでしょう。
高齢夫婦の性事情に何を見るか
午前100から102までの状況設定問題で、状況は70歳女性、BMI 26、左股関節の変形関節症。外出時はT字杖。夫68歳と2人暮らし。
外来で、診療終了後にAさんから「少し話がある」と言われた女性のB看護師は、空いている診療室で面談した。Aさんから「男性の医師には聞けなかったのですが、性交はやめておいた方がよいでしょうか。股関節の痛みが強くなることはないのですが、夫も心配していました」と相談があった。
このときB看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。
「同年代の変形性関節症の方に聞いてみてはいかがですか」
「股関節に負担がない体位について説明します」
「性交時は潤滑剤を使いましょう」
「性交は避けた方がよいでしょう」
(第113回看護師国家試験 午前101)
「夫も心配していました」に問題作成者の優しさを感じた。明るい話でよかったよ。
正解は2でしょうが、どんな体位を説明したんだろうね。妙にアクロバティックなのを出して他の部位をやらなきゃいいけど。
個人的にはこの問題を踏まえて、1個前の問題が気になりました。
Aさんの症状の悪化を予防するための説明で適切なのはどれか。
運動はしない。
減塩食をとる。
体重を減らす。
家事は夫に任せる
(第113回看護師国家試験 午前100)
試験問題なので正解は3になりますが、日常的にセックスしているほど活動的で、ぼっちゃりでも済むBMI 26、70歳の対象患者に減量を指導するのは適当だろうか。これが40歳なら話も別ですが、70歳となると低栄養に振れないよう警戒する方が優先だと思うんですけどね。食って寝てならまあ何とか言い訳もできましょうが、Aさんなら日中活動も十分あるでしょう。夫婦で旅行とかしてそうだよね。この程度の異常値を根拠に減量指導、Aさんにやることなのだろうか。
高齢者の性生活を持ち出して生々しく見えるよう作られているけど、あまり現実的な問題ではないと言うか、現実の対応だとしたらよくない問題かなと私は感じました。厚生労働省医政局看護課『保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版』においても「看護の対象」を「全体<whole>としての人間」として理解することが求められていますが、この2問を見ると、部分でしか見ていないよね。え? 100の時点で101の情報はないって? それこそ部分でしか見ていないと自白しているようなものです。
もしやこれ、女性(看護師)はセックスのことしか考えてないからダメだよねとゆージェンダーバイアス強めの主張が隠されているのかしら。そうなるなよって若い女子看護学生へのメッセージかも知れない。考えすぎか。
ナースフォースを思い出さざるを得ない。