国試の難度を測ってみる記事は実のところこの記事を書くための調査における副産物でした。さあ、ついに手にした勝利を誇ろうじゃありませんか。予想問題、当たりました。
完全勝利である
個人防護具の脱衣手順で最初に外すのはどれか。
- 手袋
- ガウン
- サージカルマスク
- フェイスシールド
(第112回看護師国家試験 午前20より)
完璧である。読みからして完璧であった。
「感染防止策」は言うまでもなくCOVID-19の影響でしょうね。今度こそ個人防護具の着脱順が出る、かも知れない。
個人防護具を外す順番を適切に列挙したものはどれか。
- ガウン、マスク、ゴーグル、手袋
- 手袋、ゴーグル、ガウン、マスク
- マスク、ガウン、手袋、ゴーグル
- ゴーグル、マスク、手袋、ガウン
あえて「外す順番」を予想問題にしたのは、外す順番の方が重要だからです。
ど真ん中を射貫きました。いやー、いい仕事しましたね。
メディックメディア「ネコナースの合格予報」(解答者数 40031人, 2023-03-22 22:10参照)によると受験生の選択率は選択肢順に70%, 20%, 0%, 8%。正答率70%は必修問題としてかなり低く、70%未満の問題は50問中4問でした。
予想の優秀さが示すお寒い現実
予想問題を作る立場としては、必修問題で低正答率の問題を当てるのは誉れが高いことです。受験者に合否に強く影響する得点を与えられるのですから。ただ、この問題の内容を考えると、そもそも正答率が低いことが気にかかります。
必修問題として出てくるだけあって、手の清潔がは感染予防策における基本の基。看護学校では手指清潔が真っ先に教えられますし、どこの保健機関だって手の清潔を保つ必要性を強く訴えています。よって個人防護具でどこが一番汚れるのか、どこの清潔を保とうとしなければならないかは当然わかってほしいところなのですが。
この低い正答率は看護学校での教育について、2つの問題を示しています。
- 手指衛生の重要性を身につけさせることに失敗している
- 国家試験対策が過去問対策に偏重している
再三書いてきたような気もしますが、看護教員連中が看護師国家試験を誤解しているのです。合格率90%の試験故に「過去問を繰り返せば合格する」、終身免許の試験を「合格すればあとはどうでもいい」と言うのは教育としてはお粗末だと感じますが、実際にそうなんですよね。身の回りの看護師も同じことを言っています。嘆かわしい。合格率90%という難度は試験のためだけに勉強をしなくても合格できるということであり、終身免許ということはここが最低基準であり研鑽を続けよということなんですよ。
看護学校での教育内容が概ね身についていれば試験のためだけに勉強しなくても合格できるはず。しかし実際には過去問を繰り返し試験のためだけの勉強によって合格している。この乖離が何を示しているのか、看護教員の方々は、看護師の方々は、よくよく考えるべきでしょう。
余談ですが、自動車の運転免許も同じです。速度超過で反則金を払う私が言うのも何ですが、法令の理解、運転技術の研鑽を続けなくてはなりません。歩くのも怪しい80歳、90歳の方々が平気で運転して病院にやってくる社会の縮図が、看護業界にもあると言えるのかも知れません。
どれぐらいタフなのか気になる。今のがなくなったら買ってみよう。