夜勤病棟の女神様(仮)

ひよっこナースの日常

第112回看護師国家試験 予想問題3問(看護師(17)編)

今回はコロ休みを利用して早めに作ってみました。第112回看護師国家試験、予想問題3問です。

昨年までの分はこちら。

今回112回からは出題基準が変わり、厚生労働省医政局看護課『保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版』が適用されます。示されている概要から注目すべき点を挙げますと。

【必修問題】

○習熟度や難易度を考慮して、必修問題として問うべき内容の精査を行った。また、年の教育現場及び臨床現場の実態を踏まえ、感染防止対策に関する項目の充実を図った。

「習熟度や難易度を考慮して」とあえて書いてあるのは何なんですかね。ちょいちょい出る難度を理由にした採点除外等を減らしていこうという意気込みでしょうか。あれ、点数調整用だと思っていたんですが、違うんですかね。

「感染防止策」は言うまでもなくCOVID-19の影響でしょうね。今度こそ個人防護具の着脱順が出る、かも知れない。

【在宅看護論/地域・在宅看護論】

○改正後のカリキュラムでは、「在宅看護論」が「地域・在宅看護論」に変更となり、科目の位置づけも変更となるが、改正前のカリキュラムの「在宅看護論」と改正後のカリキュラムの「地域・在宅看護論」の双方において適用する内容とするため、制度改善検討部会報告書における「看護師国家試験の試験科目を改正する省令(保健師助産師看護師法施行規則の一部を改正する省令)が施行されるまでの間、出題基準に『在宅看護論』を併記することが必要である」との指摘も踏まえ、表題を「在宅看護論/地域・在宅看護論」とし、位置づけは改正前のカリキュラムにそろえることとした。

○地域における多様な場における対象者や看護の役割の拡大を踏まえて項目の充実を図った。具体的には、地域・在宅看護の対象である在宅療養者及び家族の特徴と健康課題について、対象を取り巻く環境や地域での生活を含めた理解を問うとともに、地域における多様な場での看護の役割や多職種連携について、全体的な体系の再構成を含めて項目を整理・追加した。

最大の変化は在宅。科目が変わっていますからね。示されている「保健師助産師看護師法施行規則の一部を改正する省令」によれば国家試験への適用は来年、第113回からです。なら今回は関係ないかというと、そもそも科目が変わったところで教科書が変わっていないという現実があり、要される内容としては今回も次回以降も、もっと言えば前回も変わらないのでしょう。「項目の充実を図った」って言い方もありますし、問題数として増やすってことかな。そもそも厚労省は半ば慢性的な高齢者医療の提供場所を病院から自宅に移したがっており、在宅の問題は増加していくだろうと見られていたので既定路線ですね。ただ、問題にするとなると制度中心にならざるを得ない内容に感じますので、どう出してくるのかは見物かなと。その辺を織り込みながら予想もしたいですね。

さて、今回は学位取得に向けて新たな教科書を読んだりもしましたので、そこで気になった(と記憶が残っている)あたりで問題を作っていきましょう。

予想問題1 老年/地域在宅

問題1

対象者を一人の人として尊重し、その人の立場に立って考えて行われるケアはどれか。

  1. ベストサポーティブケア
  2. パーソンセンタードケア
  3. レスパイトケア
  4. エンドオブライフケア
  5. グリーフケア

正解1

2

解説1

まあ正解の通りですとしか言いようがないのですが。Thomas Kitwoodのperson-centered careです。内容的には老年と地域在宅にかかってくるところなので、出題基準的にも大変おいしいところかと思います。

1, 2は国家試験ではまだ出ていないはず。逆に3, 4, 5は出ていますね。

Best supportive careは看護学生的にはなじみがない言葉かも知れないのでこの機に押さえておきたいところ。要は緩和ケアなのですが、流行り廃りの問題で今の現場ではBSCと言われることが多いと感じます。私の学生時代にはpalliative care/therapyという表現で見かけました。それぞれ根っこが異なるものの、現時点で行われることは同じく緩和ケアです。

予想問題2 看護学全般

問題2

バイオサイコソーシャルモデルにおけるバイオの側面に該当する患者状況を示す情報はどれか。

  1. IADL
  2. 生活の満足度
  3. 住環境
  4. 友人関係

正解2

1

解説2

BPSモデルとも呼ばれるらしいですよ。まうまう。

1がバイオ、2がサイコ、3, 4がソーシャルに該当します。患者に関する情報はなんであろうとこの3つの側面のどれかに該当してしまうので、適切/不適切を問う問題は作りにくいですね。そこがこのモデルの価値でもあるのですが。

Biopsychosocial modelはGeorge Libman Engelが1977年にbiomedical modelに対する形で提唱したもの *1 で新しくもないのですが、私が看護学生だった頃の教科書で見かけた覚えがありません。国家試験問題でも見たことがありません。ざっととぐぐった感じですと、日本では2010年代後半から流行っているんですかね。今年度履修した精神看護学には出てきており、地域在宅や統合も含めあらゆる領域に関わってくる考え方でもあるので予想問題にしてみました。

なお、カタカナでは「バイオ・サイコ・ソーシャルモデル」と書かれることが多いようですが、上述の通りbiopsychosocial modelですので「バイオサイコソーシャルモデル」あるいは「バイオサイコソーシャル・モデル」が適当でしょう。

予想問題3 地域在宅/統合

問題3

自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、損害を最小限にとどめつつ、ケア等の事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画はどれか。

  1. アドバンス・ケア・プランニング
  2. ビジネス・コンティニュイティ・プラン
  3. 新エンゼルプラン
  4. ゴールドプラン

正解3

2

解説3

「事業継続計画 <BCP>」って表記になるだろうなとは思いましたが、ACPが「アドバンス・ケア・プランニング」として国家試験に出てきていましたので揃えてみました。Google先生に聞いてみると、世間では意外と「ビジネス・コンティニュイティ・プラン」という表記もなされているんですね。なお、問題の定義文には中小企業庁1.1 BCP(事業継続計画)とは」の説明をほぼそのまま使っております。

BCPはあらゆる事業にあってしかるべきものなのですが、看護を含む医療方面ではやや弱い印象があります。どうしてもIT方面を念頭に置いてしまうためそう見えるのもあるのでしょうが。実際に現在のCOVID-19大流行により事業継続が困難な状況が生じているところを見るに、やはり弱いのでしょうね。流行度合いから手が空いた時期もあったのに何をしていたのかなと。

看護方面では訪問看護BCPという言葉が出てくる頻度が高いようで、領域的には地域在宅で扱われています。看護管理でも出てくるよねと積まれた医学書院の教科書『看護サービス管理 第5版』を見てみましたが、索引には出ていませんでした。お寒い事業継続状況の原因はこの辺かも知れません。この現状が望ましいはずもなく、国家試験で問われる可能性はあると予想します。

いつものおまけ

マークシート試験ではちょっと高級な鉛筆がおすすめ。軽くなめらかに太い線が描けます。結果として早く試験を終えられる、つまり、集中力が高いままに問題を解ける可能性が高まるのでこの道具選びは重要。

鉛筆3本と消しゴム1個、手堅く1勝した昨年の私も同様の布陣で挑みました。

製品出荷状態では鉛筆がしっかり削られていますが、前日にでも、当日試験会場ででも、サラサラと線を書いて丸めるべし。マークする部分は結構面積ありますから。

今回の予想問題記事はここまでです。受験生のみなさん、試験終了まで何卒ご安全に。

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