夜勤病棟の女神様(仮)

ひよっこナースの日常

コロったってことはzero trustなんだよ

ついに私もコロってしまいました。寒さに引きこもっていたぼっち本格派なので、どこで感染したのかは明らかですね。

さて、いざ感染してみて己の行動、組織の感染管理はどうだったのかなってのを振り返ってみると、改善すべきことを3つ思いつきます。

  1. 換気は重要、万難排して行え
  2. マスクを着けよう、患者にも
  3. 感染管理はzero trustで

換気は重要、万難排して行え

特別な設備がない環境でできる感染拡大予防策は換気だけ。そして換気は効果が大きい。WHOも明言している。

  • Ventilation is important: Open windows when indoors to increase the amount of outdoor air.

(World Health Organizaiton "Coronavirus disease (COVID-19): How is it transmitted?" より)

今時の病院であればまともな空調、換気システムが入っているのでしょうが、まともな設備がない病院もありますよね。そんなところなら代わりに窓が開けられることでしょう。真冬に窓を開ければ冷たい風が入ってくるし室温は下がりますが、半袖の制服で作業できる程度にしておけばいい。大切なのは換気されていることです。*1

ええ、私は窓を開けるんですけど、閉められちゃうんですよ。

お前が寒いとか、寒くて患者が可哀相とか、お気持ちで行動を決定してはならない。多少の室温低下が患者の病状に悪影響を与えることはありませんが、COVID-19に罹患してしまえば言うまでもありません。最悪死にます。

それでもお気持ち派が強い理由ってのは何でしょうね。少なくとも彼らにとっては治療、早期退院が最優先ではないようです

マスクを着けよう、患者にも

自分では常にサージカルマスクを着けていますが。患者はどうかというと、着けていない方もいますよね。と言うか、着けても外すんですよね。どういうこと? って思われる方もいるかと思いますが、認知機能の低下によるものなんでしょうね。マスクを着ける理由も理解していただけませんし、着けるようお願いしても外します。

でも、とにかく着け直し続けないとならなかった。COVID-19の流行がなければ、まあ放っておいても大事には至らなかったんです。その癖が抜けていなかった。

  • Masks are a key measure to reduce transmission and save lives.

World Health Organization "Masks are a key measure to reduce transmission and save lives." より)

看護師的には食事介助ではどうしてもマスクを外した状態の患者と関わらざるを得ませんが。感染の可能性は極力低減しなくてはならない。あきらめたらそこで試合終了だよ。

感染管理はzero trustで

上述も含めこれに尽きる。

病院における感染管理って未だに境界型セキュリティ(perimeter security model)なんですよ。グリーンゾーン(trust zone)、イエローゾーン(dmz)、レッドゾーン(untrust zone)とかやってる。もちろんこの考え方を全面的に否定するつもりはなく、適用していて構わないと思うのですが。殊にSARS-CoV-2について言えば、これだけでは不十分であることが実績として表れています。trust zoneにCOVID-19罹患者が現れるのですから。つまりtrust zoneでSARS-CoV-2が闊歩している。そして予期せぬ院内感染拡大を起こす。

院内感染管理にzero trust modelを導入しない限りこの状況を改善することは難しいでしょう。え? 境界のセキュリティ強化? いや、現実を見ようよ、目の前で起こっていることが現実。zero trustになってるのですよ。

具体的には上述2点を組織的に徹底していくのはもちろんのこと、看護師を始め医療スタッフ側はN95マスクを常時装着して患者に接するのが適当だと考えますが、いかがでしょうか。N95マスクはそりゃ高い。Amazonでざっと見ても、サージカルが15円/枚に対してN95マスクは300円/枚。それでも医療スタッフが欠けたと大騒ぎするより、医療スタッフを介した院内感染を起こすよりは安いと思うんですけどねぇ。少なくとも、試してみて費用と効果を見るくらいはすべきでしょう。

患者側はリスクベースで継続的な検査をしていくことでしょうか。感染管理の目標は予期せぬ感染を起こさないこと。感染の可能性が常に評価され、可能性が高まったときに検査できていれば、生じるのは予期した感染。予期せぬ感染および感染拡大は防げます。個室なのか多床室なのか、入院何日後か、病棟から出たのか、病棟外の人と接触したのか、話したり叫んだりするのか、マスクを外すのか等、様々なリスクファクターを考慮して頻度を決めて検査したらいいんじゃないですかね。結果をリスク評価にフィードバックしていけば状況はよくなることでしょう。尤も、同じチェックリストを使い続け同じ過ちを犯し続け同じ「もっと確認する」的な対策を立て続ける世界で、これが実現可能かは費用よりも難しい何かがありそうですが。

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*1:看護の教科書的には窓を開けての換気は推奨されません。皮肉にも感染症対策として。虫やら何やら入り得るので。