夜勤病棟の女神様(仮)

ひよっこナースの日常

第113回看護師国家試験 予想問題3問(看護師(17)編)

今年もやってきました。第113回看護師国家試験の問題を予想するお時間です。

出題基準は昨年から適用の厚生労働省医政局看護課『保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版』です。地域・在宅を厚くするのかと思われましたが、結局そう変わりませんでしたね。今年はどうですかねぇ。全体からまんべんなく出すタイプの試験なので、あまり変わらないだろうと予想しますが。

予想問題1

問題1

梅毒について誤っているのはどれか。

  1. 報告数は男性が20~50代、女性が20代に多い。
  2. 性風俗産業の利用、従事による感染が大半である。
  3. 報告数は2010年以降、一時の減少はあるものの総じて増加傾向である。
  4. 性交渉時のコンドーム使用は感染予防に有効であるが、感染を完全に防ぐことはできない

正解1

2

解説1

別科入試問題予想の供養。その予想の基礎となった梅毒の流行を踏まえていることはもちろん、臨床での感染防止策を示しているであろう出題基準の「感染防止対策」をあえて曲解して、問題を作ってみました。

問題の作成にあたっては国立感染症研究所梅毒とは(2022年11月30日改訂)」を参考にしています。同ページの内容から、正解(誤った記述)についての解説を引用しましょう。

直近6カ月以内の性風俗産業の利用歴・従事歴については、2022年第3四半期(第27~39週)に診断された症例において、男性の4割が利用歴あり、女性の4割が従事歴ありと報告された。

大半とまでは言えない。

梅毒は第107回の母性で出題されていますが*1、そこでは梅毒そのものについて問われました。今回の予想は公衆衛生での出題です。公衆衛生だけに、受験者への注意喚起も含めた内容としています。看護師国家試験の主な受験者は20代女性ですから、「あなたのような普通の*220代女性に感染者が多いんですよ」というメッセージを込めています。

しかしまあ、男性が20~50代、女性が20代に多いってのは興味深いながらも想像通りの現実。悲しみを覚えるべきなのか、希望を見いだすべきなのか。

予想問題2

問題2

労働基準法における休憩について、正しいのはどれか。

  1. 労働時間が8時間の場合、少なくとも1時間の休憩時間が必要である
  2. 使用者は休憩時間の利用方法に一定の条件を設けられる
  3. 使用者は休憩時間を一斉に与える必要はない
  4. 使用者は休憩時間を終業時間と連続するように与えることができる

正解2

1

解説2

働き方改革が引き続き叫び続けられている中で、看護師は健康増進のため同改革を牽引すべき立場にあります。変わらず出題基準に含まれる労働基準法の理解は当然です。どこぞで臨検に入られて言わんこっちゃない状態になったとの噂を聞いて嘲笑しているわけではありません。

休憩の3原則を含め、キホンのキですよね。3については確かに一斉に与えなくてもよい例外もあるのですが、この選択肢の並びであれば、ましてや3原則を理解していれば1を選択できます。

しかし恥ずかしいことに、現場の看護師にこの問題を解かせても、正答率は微妙なところでしょう。休憩時間が1時間ではない現場なら正答率は上がるのでしょうが、労基法について理解度が高いわけではありませんな。

迷った人は労働基準法第34条を改めて読もう。

(休憩)

第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

(e-Gov法令検索「労働基準法」より)

予想問題3

問題3

次のうち最も緊急性の高い患者状態はどれか。

  1. 体温40℃、強い倦怠感がある
  2. 血圧 180/100 mmHg、やや活気がない
  3. 血糖値 68 mg/dl、通常に会話可能
  4. 経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2> 75%、やや息苦しい

正解3

4

解説3

ひとまず前線から退くことを記念して、臨床で求められる判断を問題にしてみました。

このうちのいくつかは実習で経験する方もいると思います。まあ、学生だとどれも大急ぎで指導担当看護師に知らせなければ怒られるでしょうね。しかし看護師的に走るか緊急コール*3するかになるのは4でしょう。5分間放っておいたら死ぬかな? って考えればよいのです。

  1. 確かに高熱だが直ちに生死に関わるほどではない。倦怠感は高熱によるものだろう。臨床でたまに見かける。大体はここまでの高熱になる前に解熱剤を使っているので、珍しいと言えば珍しい。インフルエンザなので家で寝てるって状況下の方がありそう。
  2. 確かに高血圧だが、やや活気がない程度ならば意識状態は悪くないと考えられ、直ちに生死に関わるほどではない。高血圧と活気低下は直接関係しているとは考えにくいが、どうだろうか。血圧は低いとショック状態故に緊急性が高いが、高い場合は相対的に緊急性が低い。臨床ではしばしば見かける程度の高血圧、だいたいは活気があると言うか自覚症状がない。
  3. 確かに低血糖だが、会話可能で意識状態に問題はなく、直ちに生死に関わるほどではない。さっさとブドウ糖を入れますが。低血糖は命に関わるということだけを覚えていると引っかかるかも知れない。臨床では割と見かける、と言うか、50を切ってもまだ普通にしている人もいる。あれは逆に怖い。
  4. 明らかにSpO2が低い上に、呼吸困難が生じている。「やや」程度じゃないのでそこは気になるものの、明らかに呼吸不全。生死に関わる。急ぎ酸素投与して効果判定。酸素投与で改善傾向が見られなければ迷わず医師を呼ぶ。ヤバい状況なのに意外と臨床でよく見かける。大抵COPDが背景にあり、応じた治療中に見るため、ヤバいけど緊急という空気にならないが。問題文の状況だけ見たら、これ死ぬかもって気がしてくる。

なお、「最も緊急性が高い」でおなじみの過去問は「最も緊急性の高い不整脈はどれか」ですね。大切なことだけど、不整脈の種類を判別できるってことは心電図モニターが装着されているわけだし、心電図モニターは緊急度を判定してくれますからね。臨床で役立つかという観点では、あまりおもしろい問題ではありません。ま、今回の予想問題と合わせて言えることは、呼吸や循環が止まっている場合はヤバいぞってことですね。

いつものおまけ

マークシート試験ではちょっと高級な鉛筆がおすすめ。軽くなめらかに太い線が描けます。結果として早く試験を終えられる、つまり、集中力が高いままに問題を解ける可能性が高まるのでこの道具選びは重要。

鉛筆3本と消しゴム1個、私もマークシート試験ではこの布陣です。昨年は記述式だったので鉛筆2本、シャープペンシル1本、消しゴム1個でしたが。1勝1敗、ぐぬぬ

製品出荷状態では鉛筆がしっかり削られていますが、前日にでも、当日試験会場ででも、サラサラと線を書いて丸めるべし。マークする部分は結構面積ありますから。

今回の予想問題記事はここまでです。受験生のみなさん、試験終了まで何卒ご安全に。

予想が当たったら、どなたかこれ買ってください。貧乏学生に戻るので自分では買えないのです。

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*1:と客観的に書きましたが、私が受験した試験ですね。もちろん梅毒の問題そのものは覚えておりません。

*2:「普通とは」とゆー話は今回は置いておきましょう。

*3:応援看護師を呼ぶためのナースコール