夜勤病棟の女神様(仮)

てっぺんの街、ひよっこナースの日常

第108回看護師国家試験を味わう(1) 試験対策はいらない

第108回看護師国家試験を受験なさったナスたまのみなさま、遅ればせながら、お疲れさまでした。問題予想をことごとく外した私です。一通り解くのにも結構かかり、さらにこの記事を書くまでにもっとかかりで合格発表も近づく今日この頃ですが、今年も味わっていこうかなと思います。1年間、このblogでの取り扱い以外には国家試験の問題を見ずに生活していましたが、解いてみたら合格ラインは確保できました。よかったよかった。

概観

解いてみて感じたのは、サラッとしてるなってこと。疲れずに解けます。考えるところがあまりないんですよね。状況設定問題がその印象を強めていて、教科書でも取り上げられるような典型的な状況が並びます。細かく見なくても「あー、病名はこれで対処はこれでしょ?」で終えられる。ただ、これでサラッと終えるためには、日頃はちゃんと考えて勉強している必要があり、よくできた問題だとも感じました。

3~5年間かけて看護の勉強をしている学生に対して、直前の暗記を求めるような問題は適当でないだろうと厚労省も感じてるんじゃないでしょうかね。今年のような問題であれば、より多くの学生が国家試験対策を特別にする必要がなくなるでしょう。看護学生と国家試験ってのは、いわゆる大学生と就職活動みたいなものかも知れません。

教養に点数をくれる先進的な問題たち

さて、ここからは気になった問題について見ていきましょう。初回の今回は、今回の特徴として感じた「教養に点数をくれる問題」についてまとめて取り上げます。

やはり厚労省としては、国家試験対策で国家試験を通されるってのは狙うところじゃないのでしょうね。加えて看護師をより社会的な存在にしたいという思惑もあるのでしょうか。教科書に載っているか疑わしいけど世間で話題になっているものをいくつか放り込んできました。

 平成16年(2004年)に性同一性簿害者の性別の取扱いの特例に関する法律が施行され、戸籍上の性別を変更することが可能になった。  その変更の条件で正しいのはどれか。

  1. 15歳以上であること
  2. うつ症状を呈していること
  3. 現に未成年の子がいないこと
  4. 両親の同意が得られていること

(第108回看護師国家試験(午前63)より)

午前中、頭から解くとだいたい30分ぐらいで辿り着くところにこれですよ。攻めてるなぁ。確かに世間で散々話題になっているところ。ただ、これが出題されるとは私も想像だにしませんでした。教科書での扱いが大きいとは思えませんし、試験対策で重視されるような法律でもないでしょう。ただ、同法を扱う問題は第95回助産師国家試験*1で問われ正答も同様のものを選ぶようになっており、警戒しておくべきところではあったようです。

正答は3。メディックメディアの合格予報を見る限り、1を選んだ人が多かったようです。

Aさん(81歳、女性)は、1人暮らし。7年前から糖尿病、高血圧症、便意小で病院の内科に定期的に通院しており

(中略)

入院時のアセスメントで適切なのはどれか。

  1. 頻脈がある。
  2. 低血糖である。
  3. フレイルである。
  4. 高度な認知機能の低下がある

(第108回看護師国家試験(午前118)より)

フレイル! よく耳に、目にする単語ですが、教科書には載っていなかった学生もいるのでは。日本老年医学会が外来語として2014年5月に提唱した*2ばかりですよ。5年経ってるでしょ? って言うかも知れませんが、老年看護学概論の教科書を買うのって1年生じゃなかったっけ? 3年制の看護学生だとして買うのは2016年4月、私の使ったメヂカルフレンド社だと直前の改訂は2012年11ですからね。次の2016年12月改訂で入っているかどうかってところでしょ。他の選択肢は選びようがないというところから、試験で教育しようという意図がまた素敵です。

正答はもちろん、3のフレイル。

ちなみにこの状況設定問題、引用した、問題用紙上の1.5行を読んだら、従属する3つの設問とも「あーはいはい、これでしょ」って解けます。この辺が上述のサラッとした感じ。

国際社会が抱えるヘルスケアを含む課題に対して、すべての国に適用される普遍的(ユニバーサル)な目標で、2015年の国連サミットで採択されたのはどれか。

  1. ヘルスフォーオール21(Health For All in the 21st century : HFA 21)
  2. ミレニアム開発目標(Millenium Development Goals : MDGs
  3. 持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals : SDGs
  4. 国連開発目標(International Develpment Goals :IDGs)

(第108回看護師国家試験(午後73)より)

看護師国家試験でこれを持ってくるか。範囲としてはいわゆる「統合」の国際看護でしょうか。国家試験対策では手が回らないところかなと思います。「ヘルスケアを含む」とあえて書いているあたり教育的な要素もある出題だと思われますが、何より、世間の話題に触れていれば「SDGs」の響きで正答を導けます。

正答は3。メディックメディアの合格予報では1~3でバラついたようです。

次回からは日看学協の意見書で遊ぼう

さて、次回から当blogではおなじみ、日本看護学校協議会による「看護師国家試験の実施に関する要望書」で物言いがついた問題について見ていきましょう。

今年はその後さらに、私の気になった問題を取り上げていければと思っています。

約束はいらない

約束はいらない

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