夜勤病棟の女神様(仮)

ひよっこナースの日常

ニュースには表れない餅の恐ろしさ

晦日らしく、明日の年明け早々役立ちそうなネタで今年を締めましょう。なお、私は明日の元日も日勤です。

お祭りかなんかで餅つき中

出勤前のニュースより

今日もNHKラジオ第1を流していたら、興味深いニュースが流れてきました。

東京消防庁によりますと、平成26年からことしまでの5年間の正月三が日に、都内で餅をのどに詰まらせて病院に搬送された人は合わせて97人で、このうち5人が死亡しました。

NHK NEWS WEB「正月に餅詰まらせ搬送 7割が元日に集中 注意して食べて」より)

稚内でも来るんだろうなぁと思っている、餅による窒息。このニュースのハイライトは死者5人なのかなと思いますが、病棟看護師的にはそれよりも重要なことがあります。。

搬送97人、死者5人、つまり92人は助かったのね。と、普通は思いますよね。

経験上、おそらくそうではありません。かなりの人は蘇生後脳症を患っていると推測しますし、病棟看護師が恐れているのはそんな命を取り留めた人が病棟に送られてくることです。

窒息がなぜ危険か

語弊を恐れずに言えば、脳への酸素供給が絶たれるから危険なのです。人間の身体は脳が全てではありませんが、人間らしさを司るのは脳より他にありません。脳は酸素供給を絶たれると壊れる一方、それも不可逆に。たとえ窒息を脱して酸素供給を再開しても、脳は回復しません。

窒息を脱した後に脳が壊れたままの状態、それが蘇生後脳症です。脳の壊れ具合により症状は様々ですが、脳が壊れるということは人間らしさが壊れるということ。いわゆる植物状態にもなり得ます。

この言い方にお叱りもあろうかと思いますが、蘇生後脳症の患者は、死者より難しい存在たり得ます。医療従事者にとっても、家族や友人にとっても。

だからこそ大晦日の今日、伝えておきたい。「たった5人」ではなく、「92人も」であると。

餅を食べるときは本当に、何卒、ご安全に。

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