夜勤病棟の女神様(仮)

ひよっこナースの日常

看護師にわからない看護師の会話

医療従事者の間でもさっぱり話題にならないけど私は好きな医療ネタの漫画『なみだ坂診療所』*1。地味な内容をうまくドラマにしていて、看護学生、看護師と進んできた私もいろいろと考えさせられる内容がお気に入りです。先日、910話を読んでいて、おもしろい内容を見つけました。

ある日の夜勤、看護師2名の会話

ある内科病棟のお話。

モナ: 洋子ちゃん そろそろ巡回の時間よ

洋子: モナさん ごめ~ん! 日報が朝までかかりそうで巡回に行けそうもないんです~ぅ

モナ: あなた 先週もそんなような事言ってなかったか? わかったわ じゃ かわりに私が回ってくるわ

洋子: すみません! 来週一杯おごります!

モナ: 要するに真夜中に一人で回るのが怖いんだろうね…

(宇治谷順, 向後つぐお(2018)「なみだ坂診療所」第910話 こぼれ灯(前), 『週刊漫画TIMES』 2018年11月9日号, p.240, 芳文社.)

ここで言う「巡回」は、夜間、2~3時間ごとに病室を見回ることです。夜間の病棟は基本的に「お休み中」ですから、意図的に見回らないと何が起こっているか全くわかりません。日中はいろいろな人が出入りしますから、常に誰かが誰かを見ています。しかし夜間に見るのは数名の看護師のみ。とゆわけで、巡回となります。患者が全員病室で生きているかを確認して回ります。

改めて読むと、おそらく、こういう病棟の方が多いんだろうなと思います。学生時代実習でお世話になった某弘前病院も基本はこんな感じでしょう。

ところが、私は最初読んだときに「え? どゆこと?」って理解できなかったんですよね。

巡回の内容は病棟によりけり

ある、私の勤務する、内科病棟のお話。

私の勤務先における「巡回」は、夜勤者全員(と言っても2人か3人ですが)で行います。2~3時間ごとにおむつ交換と体位交換*2が必要だからです。おむつ交換と体位交換は1人でもできますが、2人でやった方が速くて安全です。成人のおむつ交換なんて言うまでもなく重労働ですから、怖いからと自分だけ避けられるような話でもなく、「一人で回る」程度の話でもありません。

そんなですから、上に引用した会話を読んだとき、疑問符が浮かんだのです。

職場を選ぶ材料にどうぞ

中途採用で入っていく人はこんなこと百も承知でしょうけど。看護学生が就職先の病院を選ぶときには、そこの患者のADL*3がどの程度だろうって考えるのは重要です。某氏のように場所だけで決定するのならともかく、大抵は場所と仕事とで決めますよね。ADLが低い患者がが多い病棟は、ADLが高い患者が多い病棟に比べ、おむつ交換や体位交換の業務が増えます。その良し悪しは人それぞれでしょうが、給料単価当たりの労働量は増える傾向にあるんだろうなと気付いてしまい私はぐったりしています。

病院によっても傾向がありますし、同じ病院の中でも病棟(診療科)によっても傾向があります。婦人科あたりはADL高いんですよね。

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*1:以前は『茗荷谷なみだ坂診療所』だった。800話あたりで切り替わったよーな。

*2:外部から身体の向きを変えて寝返りを打たせる。おむつをするような成人の多くは自発的に寝返りを打てず、放っておくと床擦れを起こしてしまうため。

*3:Activity of Daily Living、日常生活動作。生活に必要な動作が自立して可能であれば「ADL自立」と言ったり、可能な程度を高い低いで言い表したりする。