夜勤病棟の女神様(仮)

ひよっこナースの日常

これが三度目の正直だと言わせて

学生を三度始めて1ヶ月、以外と順調に単位を積み上げています。数字で言えば必要単位数31のうち27を修得しました。

この辺で履修した、あるいは履修予定の科目をご紹介。

区分 科目 方法 単位数 履修 修得
看護専門科目 生涯看護学概論 R 2
看護専門科目 看護教育論 S 2
看護専門科目 国際看護論 R 2 X
看護専門科目 看護管理論 S 2
看護専門科目 看護研究法 SR 2
看護専門科目 文献研究法1 T 1 X X
看護専門科目 文献研究法2 MT 1 X
看護専門科目 高齢者看護論 T 2 X X
看護専門科目 エンド・オブ・ライフケア R 2
看護専門科目 精神保健看護学 T 2 X X
看護専門科目 家族相談援助論 R 2
看護専門科目 健康教育論 T 2 X X
看護専門科目 健康政策論 T 2 X X
看護専門科目 在宅看護マネジメント論 T 2 X X
看護専門科目 地域看護学 TR 2 X
一般科目 大学基礎 MTR 1
一般科目 SDGs基礎 T 1
一般科目 人間論 ST 4
一般科目 心理学概論 T 4 X X
一般科目 臨床心理学 T 4 X X
一般科目 死生学 T 4 X X
一般科目 生命倫理 T 4 X X

大学改革支援・学位授与機構より学位を得ようとすると、まずは大学で看護専門科目より16単位、一般科目より15単位を修得する必要があります。そこで武蔵野大学 通信教育部 看護学コースでは表の通りの科目を提示してきていて、ここから必要な単位数分の科目を好みに応じて履修できます。私が選んだのは「履修」列にXで示した科目です。

ちなみに「方法」列に示したアルファベットの意味はこの通り。

  • M メディア授業(video on demand) + 最終テスト
  • R レポート(1~2回) + 最終テスト
  • S スクーリング
  • T 小テスト(複数回) + 最終テスト

私の科目の選択基準は簡単。できるだけテストで終える。これに尽きます。地理的にスクーリングが難しいのでスクーリングは端から除外。オンラインで完結できるテストかレポートかではテストの方が楽だろうと。レポートをどの程度の品質で仕上げるのかでもその楽さは変わりますが、かつて某C大学で学んでいた頃、私標準品質ではテストの方が楽だったのですよ。なのでテストを基本に、やむを得ないところはレポートを入れる形で組んでみました。

テストはオンラインで受けられますから、言ってみれば何でも持ち込み可能のテストです。それにもかかわらず多肢選択式ですから楽勝。教科書めくって調べるの、あるいはGoogle先生に聞くのが得意な人は読まなくても通せるんじゃないでしょうかね。実際に小テスト一つでは試してみましたが、通せます。とは言え全てをそんな作業にしてしまうのももったいないかなってことで、ざっと教科書を読んでテストに臨むという形で「修得」列にXを示した科目を修得してきました。1ヶ月間でテスト科目は全部終えたよ。わーい。

履修に2年掛ける計画だったのですが、こうなると半期で履修を終えてもう半期で学修成果レポートを書こうかなと。そう、学位を得るには単位を得るだけではダメなのですよ。この3ステップが必要。

  1. 必要単位を大学で積み上げる(今ここ
  2. 学修成果レポートを大学改革支援・学位授与機構に提出する(4月 or 10月)
  3. 筆記試験を大学改革支援・学位授与機構で受ける(6月 or 12月)

人によっては4月からの単位積み上げつつ併行してレポートを書いて10月に提出するのかなと思いましたが、単位積み上げ条件が「1年以上にわたって授業科目を履修し,31単位以上」 *1 なのでそれはできないのですね。何にせよ私には無理ですが。晴れた休日にはバイクで旅に出ないといけません。

おもしろい一般科目、おもしろくない看護専門科目

武蔵野大学看護学コースに決めた際、おもしろくないなと思っていたのが一般科目の構成です。大学改革支援・学位授与機構の要件としては何ら制限がないのが一般科目の内容。文学、法学、経済学、政治学、何が入ってきてもいいところなのです。ただ武蔵野大学的には専門学校卒看護師を対象にした「看護学コース」なので、看護学に関係あるのを選んできたのでしょう。今一度経済学を学び直したり、文学の香りを味わったりしたかったのに。残念、と思ったのですが。実際には結構おもしろかったです。「心理学概論」は概論なので退屈なのは仕方ないとして、「臨床心理学」は卑近な実例から展開するので相槌を打ちながら考えることができました。「死生学」と「生命倫理」はなかなかエキサイティングです。思想に踏み込むこの2科目、そりゃおもしろいですよ。最初の大学生時代からですかね、宗教についてちょこちょこ勉強してきたのがここでまた深まったというか。え、そこなの? って、そこですよ。

あれこれ経てきた人の次の学びでの楽しみ方には、新しいものを新しく感じるだけでなく、新しいものをお気に入りの視座から味わうってのもあるのです。いやはや、お上の言うリカレント教育を実践しているんじゃないのかしら。我が国におけるリカレント教育なんて幻だと思っていますけどね。

一方で看護専門科目はおもしろくない。なぜなのかを考えてみると、まさにその考えてみるって部分がないからなんだと思うんですよ。教科書の内容は制度の説明が多く、そうなのねで終わってしまう。制度を作ろうって話ではなく、制度に則った仕事をしようって話ですからね。覚えているか覚えていないかの世界。そんなもの今時頭を使うべきことじゃないでしょう。とまあ、おもしろくありません。そんな中「高齢者看護論」は認知症ライフパートナー検定試験の見直し的なところもあって臨床で役立ちそうという観点でおもしろいところはあったかな。Thomas KitwoodのPerson-Centered Careは来年の予想問題にしようっと。看護師向けの科目なんだから、考えさせないまでもこーゆー実践的なのを並べたらいいのにね。

考えるか考えないかってのはそれぞれの科目で、昨今の看護界隈で散見されるspiritualという言葉をどう扱うのかに表れていました。「死生学」や「生命倫理」では文化や宗教にまで踏み込んで説明されるのに対し、「高齢者看護論」では何の説明もなくさらっと流し、「健康政策論」では言葉としてどう訳すのかという内容。看護界隈にいる私としては恥ずかしくも悲しいことですよ。

残るはレポート作成

さて、残るはレポート科目2つとメディア授業1つ。後者は6月からなので単純にそれ待ち。レポートは手間がかかるので後回し、にしているわけではありません。ひとまず1本は書いて提出済み、評価が返ってくるのを待っています。こんなもんかなで書いてみたので、評価によって少し具合を変えつつ一気に片付けるつもりです。

夏前には単位が積み上がるかな、どうかな。

各科目教科書紹介

履修済み科目の教科書紹介。ちなみにテストは教科書に書いてあることを問われるだけで、深い問題はありません。誤字脱字やコピペ誤りでぐちゃぐちゃになった選択肢を深読みする必要はたまにありましたが。

文献研究法

Amazonにないのね。60ページとペラい。上述の学習成果レポートを書くための指南書なんだけど、これで書けるようになるとは到底思えん。Amazonで人気のレポート作成指南書をどれか1冊買った方がいい。

『論文の教室』は私も最近読んで刃を研いでおいた。

高齢者看護論

日本看護協会出版会が教科書を出していたとは。第一章の時点で参考文献の孫引きを決めてくる看護方面らしい教科書。

看護学校時代に使ったメヂカルフレンドの記憶と比べて、医学的に細かいところに触れている印象がある。国家試験を通すという観点では行き過ぎだろう。看護学生より看護師が読むことを意識しているのかも知れない。網羅的で病棟看護師的にはこれ1冊を改訂の度に勉強しておけば万全感がある。認知症に1章丸々割く手厚さも臨床向き。

精神保健看護学

南江堂の精神看護学は2冊構成で、こちらは概論的な方。歴史、制度、精神保健基礎。

患者の理解にバイオ・サイコ・ソーシャルモデル *2 を猛プッシュしているんだけど、これは今の流行りなの? それともこの教科書の癖? どうでもいいけど「バイオ・サイコ・ソーシャル・モデル」じゃねーの?

「一般病床における精神看護」は素敵な章。多くの看護師にとって精神疾患とのふれあいは精神科以外でだからね。看護学生的にも実習で役立てられるんじゃなかろうか。

健康教育論

メヂカルフレンド社の教科書。表紙の雰囲気変わったなぁと思ったら、看護師ではなく保健師向けの教科書。教育論とは銘打っているが、世にある制度や教育の場について説明する内容。読みにくい部分が結構あり、日本語がいまいちな感じを受けた。

健康政策論

医学書院の教科書。こちらも保健師向け。書名は行政論となっているが、内容は保健医療福祉制度がひたすら並べられているだけ。1冊まるごと頭に入れられればあらゆる場面で使える制度がわかり便利だろうが、私の頭には到底入りそうにない。

在宅看護マネジメント論

メディカ出版のナーシング・グラフィカ。A4変形判で図表多めという特徴があったシリーズですが、最新版は他社と同じB5になったんですね。ナーシング・グラフィカは私が看護学生だった頃にできた新しい教科書で、これで揃えるところは少なかったのでしょう。そりゃサイズが合わないと不評だよね。ちなみにA4時代のこの教科書を看護学校で使いました。地域包括ケアシステムの図には見覚えがある。今も図表は多めで、図表だけで多くの要点を理解できるのが素敵。

在宅看護に関する状況と制度をが説明されている。メディカの在宅は2冊構成で、看護技術はもう1冊の方。私が以前に使った版と比較すると、最後に海外の在宅看護を紹介していることが違いなのだろうか。硬直した我が国の看護業界でこの手の紹介があっても「で?」と言うしかないし、それはメディカも理解しているはず。それでも写真まで入れてしっかり紹介するのはナーシング・グラフィカとしての矜恃なのだろう。

科目名の「マネジメント」がどの辺に出ているのかはわからなかった。ちなみに同じ教科書でやってた看護学校時代の科目名は「在宅看護論」だったはず。

心理学概論

廃業したおうふうの教科書。何らかの形でライセンスを受けてオンデマンド印刷してるっぽい。

そこまでしてこの教科書に固執する理由もないように感じたが、心理学の古典的な説を網羅しているという点では概論にふさわしい内容ではある。通信制大学だと受け取った教科書を数年後に使うという場合もあって、その経過措置を意識していたら惰性になってしまったとか、そんな感じだろうか。

医学書院の系統看護学講座やメヂカルフレンド社の新体系看護学全書にある『心理学』でいいんじゃねーの? と看護学校卒の私は思うのですが、武蔵野大学通信教育部的には心理学専攻にある科目としての心理学概論の教科書なので看護の教科書を選ぶわけにはいきませんな。それにしたって他にあると思いますけどね。

臨床心理学

学生を登場人物にした事例や読者が実際に行うテストを題材に抑うつ、対人不安、統合失調症、精神病理を探検する1冊。これは学生向けの教科書としては素晴らしい選択。

某IT業界ではその手の心の病が常々大流行しているので、マネージャー研修とかで採用したらいいと思う。大流行に慣れすぎた結果がスルー力の強化、よくて産業医、産業保健師送りになっていて、なぜ流行してしまうのか、防ぐ手立てはないのかというところに真剣には踏み込めていなかったように私には見えた。まずはこれ1冊読んでみて。

死生学

2章にして「死生・宗教・スピリチュアリティ」である。これは盛り上がらざるを得ない。

しかしこの教科書の一番熱いところは「マンガで死生について考える」であろう。「なぜマンガなのか」という断りは立項してまで記されており、あれこれ能書きを並べた後に筆者である山崎浩司はこう言うのさ。

ただし、今回マンガに注目する最大の理由は、筆者がマンガを好きであるからである。

(石丸昌彦, 山崎浩司. (2018). 『死生学のフィールド』. 放送大学教育振興会. p75)

キレッキレじゃねぇかよ。なお、取り上げているマンガは『バガボンド』である。美少女キャラ満載作品じゃなくてよかったのか。

あ、本当にいい教科書ですよ。死生学というか、生まれる死ぬを考えてみたくなったら読んでみて。昨今、USで盛り上がっている人工妊娠中絶の話も入ってます。今やそんな場面もないんでしょうが、飲み屋でニュースを語るときにも使えます。おすすめ。

生命倫理

上述の死生学と一部重なったりもする生命倫理の教科書。各章、各テーマで事例を1つ挙げて導入するのは読みやすくていいですね。総じて医療をどう人間に適用するのがよいのだろうかと考えられる一冊。癖っぽさがない落ち着いた教科書にもかかわらず読みやすい。

当然ながらインフォームドコンセントについても真っ当に丁寧に書かれているのですが。

署名しなければならないたくさんの同意書を目の前にすると、これが本当にインフォームド・コンセントの目指したことだったのだろうか、と疑問が湧いてくる。

(玉井真理子, 大谷 いづみ. (2011). 『はじめて出会う生命倫理』. p.115)

その疑問を投げっぱなしなのは教科書としてどうなのかなと思いましたが。

ところで生命倫理がbioethicsの訳語なのはみなさんご存じかと思いますが、bioethicsは地球環境を守るための思想や行動を指すものだったってご存じでした? 私はこの教科書を読むまで存じませんでした。

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