順調かどうかはさておき、実習を進めているナスたま3年生のあたしです。実習は忙しいなー大変だなーと言いながらも余計な情報の収集には余念がなく、こんなニュースを見かけました。
だいぶ前に「5版ですよ」を見たとき、全く意味がわからなかったことは秘密です。しゃもじの絵を見て「ああ」って、あたし、頭固いのかな。
医学生と看護学生の共通点?
——これだけ権威ある本が、なぜダジャレを?
医師や医学生には意外と知られていないのですが、現在国内ではハリソンなどのいわゆる「成書」と呼ばれる教科書の需要が、とても落ち込んでいます。
著名な先生方や指導医がどれだけ「読みなさい」と言っても、多くの医学生、若手医師は簡便な医学書に流れてしまう傾向にあり、弊社だけでなく教科書を出している版元にとっては大きな課題となっていました。
なるほどねぇ。看護学生から見ると殿上人とも言える医学生も、看護学生と同じような具合なんですかね。
看護学生が内科学の「成書」を要されることはありません。このblogでも何度か紹介してきたように、そもそも器官ごとに分冊となった教科書が標準です。それでも内容としては「成書」に準ずるお堅さ故、レポートを書くとなるとまずポップな表紙の『病気がみえる』を手にする人は多くいます。また、教科書と「病みえ」とで比べれば、比べなくても教科書は難しいと言われます。
看護学生の教科書の代表格、「系看」と「病みえ」を比べますと、表紙だけでもこの差です。
- 作者: 吉田俊子
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2015/01/06
- メディア: 単行本
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- 作者: 医療情報科学研究所
- 出版社/メーカー: メディックメディア
- 発売日: 2017/03/04
- メディア: 単行本
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そりゃ「病みえ」選ぶだろ。*1
教科書が難しいと言う学生の多くは、教科書をちゃんと読んでいないように感じます。なのに難しいとは何事か。見た目なのでしょう。
それは表紙であったり、パラッとめくったときのイラストの多さであったり。分厚さなんてもありますよね。
医学生がどう教えられるのかは存じませんが。看護学生は、看護活動において、看護者が対象にどう見られているか、どう思われているのか、外見からの印象はとても重要であると散々教えられます。故に服装や髪型、髪色には非常にうるさく、実技試験や実習前に髪色を正せと指導されることがよくあるほどなのです。そーゆー世界*2の連中が、なぜ、わからないんでしょうね。己のことは、棚に上げてしまうものなのでしょうか。
難しいかどうかではなく、難しそうに見えるかどうか、ですよ。
踏まえて、「5版ですよ」は悪くないアプローチだと思いますが。教科書本体とは離れたところのダジャレで解消するほど、「難しい」アレルギーは軽いものなのかしら。
ちなみに私は割と「系看」を読む方で、故にか難しいとは思いません。難易度とは別に、たまに雑だったり、編集が甘くて執筆者間のバラつきが抑えられていないのは気になるけど。
そもそも翻訳書という微妙な存在
別の観点から『ハリソン内科学』そのものについて言及すると、これ、翻訳書なんですよね。原書は英語で記される『Harrison's Principles of Internal Medicine』です。
Harrison's Principles of Internal Medicine 19/E (Vol.1 & Vol.2)
- 作者: Anthony Fauci, Stephen Hauser, Dan Longo, J. Jameson, Joseph Loscalzo Dennis Kasper
- 出版社/メーカー: McGraw-Hill Professional
- 発売日: 2015/04/17
- メディア: ハードカバー
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純粋に難易度の話を持ってくるなら、原書選ばせるのが当然だろって思っちゃうんだけど、どーなん?
なお、私はこの前、朝倉内科学を買いました。出たばかりの第11版。看護学生には過ぎたるものだとわかっていますが、趣味ですよね。ハリソン読みたくなったら原書買います、趣味ですから。
- 作者: 矢?義雄,赤司浩一,渥美達也,伊藤裕,稲垣暢也,神田隆,木下芳一,工藤正俊,小室一成,須永眞司,南学正臣,長谷川好規,松本哲哉,楽木宏実
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2017/03/10
- メディア: 大型本
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- 作者: 福井次矢,黒川清
- 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
- 発売日: 2017/03/24
- メディア: 大型本
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