まさかの第3夜。前2夜はこちら。
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引き続き肴は日本看護協会出版会 『日本看護協会機関誌 看護』 2015年7月号。
- 出版社/メーカー: 日本看護協会出版会
- 発売日: 2015/06/20
- メディア: 雑誌
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なお、今週の試験は乗り切りましたが、来週も引き続き試験。えっと、ほら、あれ、corporate social responsibilityだよ。corporateじゃないけど。
ここまでのあらすじ
- 医師と看護師の違いはできることです。
- 医師は診断と治療ができますが、看護師はできません。医師法および保健師助産師看護師法で定められています。
- 2015年10月から看護師にできなかった(本説明で言う)治療行為の一部 = 特定行為が可能になります
- 専門の研修を受ければ特定行為が可能になります
- 専門の研修を受けずに特定行為を実施することは禁止しません。すでに実施している看護師がいるからです。
- えっ? そもそも法で禁止されてるって説明してたよね?
特定行為に軸足を置いた話は前回で結着したと思っているのですが。それ故に生じる疑問「特定行為は(現時点で)看護師による実施が法で禁じられているとゆー嘘がはびこっているのはなぜ?」というところにメスを入れていきましょう。メスを入れるのは「禁止」なの?
またもや一般教養が現れた
予告通り、聞いてきました。相手は看護学校の教員としてチェッカーフラッグを受ける直前であり、この手の話では信頼できるであろうと思われる方です。
なぜ、看護師はなぜ特定行為を、例えば動脈穿刺をできないとされているのか。
- 訓練を受けていないのだからできない。
- たった3年*1でそんなことまでできない。
- そのための専門の研修を受けるから、特定行為を実施できるようになる。
- やりたくない。
- 私も、できないことは断ったことがある。
- 患者だって嫌でしょう?
さすが。これを聞いて答えが見えました。
なぜ、看護師はなぜ特定行為を、例えば動脈穿刺をできないとされているのか。法律で禁じられていると誤った説明がなされるのか。
能力としての「できない」を、禁止としての「できない」と混ぜてしまった連中の説明が主流になったから。
意外と単純なところに、そしてまたもやいつも通りのところに結着してしまいました。日本語力、そして法に対する意識が誤りの原因のようです。
ちなみに上述の質問、実は「違法ではない」という前提を踏まえて話そうとしたのですが、その辺はうまく行きませんでした。私の話し方のせいでもあるのでしょう。また、その入り口を自分で書いておきながら忘れていたのですが、法を改めて読み、改めて考えるなんて、不要と言われてしまう嗜みなんですよね。
誤解を当然に続けてしまうだけの理由が、他にもないわけではありません。この一連の記事では奇しくも動脈穿刺を例に挙げていましたが、かつて看護師は静脈注射も業務範囲を超えるとの行政解釈がなされていました。
2002年にその通知は改められることになりますが、この流れを「法改正」と捉えている風があるんですね。よって「法改正で静脈注射は許可されたが」とゆー発想です。
実際には特定行為について厚労省が違法性を指摘していないように、通知は静脈注射に対する解釈を示しただけで、他がどうこうは言っていないというのが、淡々と捉えた話になると思われます。
尤も、2002年に通知を改める前の厚労省調査によれば、病院の看護師においては9割以上が静脈注射を行っていたことを考えると、今回の特定行為に対する認識は不自然とも言えるのですが。
ま、この辺にしましょう。3夜も使って、まさに酒飲み話を続けてきました。「看護雑誌で今夜も一杯」とゆー名前の通り、私は一連の記事に「一杯を楽しむ」以外の意味を求めていません。だから3夜が楽しかっただけで満足なのですが。加えて、「承知しました」の一言で済んでしまう物事を自らの目で見直してみるってのは意外と楽しいよって、誰かに伝わったのなら儲けものかなと思っています。いつか乾杯しましょうよ!
次こそ最終、第4夜になります。勤務時間の話と、KYの話をしましょう。