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第107回看護師国家試験を味わう(8) 当日私は解けませんでしたが(午後105)

第107回看護師国家試験を味わうシリーズ。日看学協の物言いが適当なのか、その内容を検討する6回目。ここで日看学協に黒星が着くと、負け越しが決まる重要な一番です。

試験に対する技術が問われる状況設定問題

午後105に対する物言いですが、ここは連続して持ってこないと話がわかりにくいところです。問題103から一連の問題を引用しましょう。

A君(13歳、男子)。2週前から下腿の紫斑、腹痛、膝関節の疼痛が出現し、近くのクリニックを受診した。血尿および蛋白尿も認められたため、病院を紹介され受診した。既往歴および家族歴に特記すべきことはない。

身体所見:体温36.7℃、血圧110/66mmHg。意識清明。腹痛、浮腫なし。両膝関節の軽度の疼痛があるが、膨張および発赤なし。両下腿に紫斑が散在している。

検査所見:血液所見:赤血球470万/μL、白血球5,600/μL、血小板21万/μL、プロトロンビン活性〈PT活性〉105%(基準値80~120%)、活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉32.0秒(基準対象31.2秒)。クレアチニン0.56mg/dL、アルブミン3.7g/dL、CRP0.1mg/dL。補体価(CH50)41IU/mL(基準値30~45 IU/mL)、抗核抗体陰性。尿所見:蛋白3+、潜血2+、赤血球50~99/1視野。

103 A君の状態から最も考えられる疾患はどれか。

  1. 川崎病
  2. 血友病
  3. 急性リンパ性白血病
  4. 全身性エリテマトーデス〈SLE〉
  5. Henoch-Schönlein〈ヘノッホ・シェーンライン〉紫斑病〈IgA血管炎〉

104 その後6か月間、A君は外来で経過観察となった。関節症状および紫斑は自然に消失したが、尿の異常と低蛋白血症は変わらず、その他の所見も変化がなかった。

A君の尿の異常の確定診断をするために最も重要な検査はどれか。

  1. 腎生検
  2. 咽頭培養
  3. 腹部MRI
  4. クレアチニンリアランスの測定

105 検査の結果、A君は2年間のステロイド治療が必要と判断された。1か月後に外来受診の予定である。 看護師からA君に対して行う生活指導で適切なのはどれか。

  1. 「水分を積極的に摂取してください」
  2. 「紫斑が出現したら記録してください」
  3. 蛋白質を制限した食事を摂取してください」
  4. 「日光をなるべく浴びないようにしてください」

(第107回看護師国家試験(午後103, 104, 105)より)

厚労省が設定した正答は5, 1, 2。

私の当日の回答は5, 1, 1。物言いがついた105を落としましたが、明らかに私の誤りです。今見直して、設問はむしろ鮮やかなものだと感心しました。

余談から始まりますが、この一連の状況設定問題*1、看護師国家試験の中では難度の高い問題です。この手の問題を積極的に得点するか否かは戦略によるところ。落としても合否への影響は小さく、学校での指導や参考書での順位付けでは重視されないところですかね。一方、私はこの手の問題で得点する戦略を採用していたため、2/3で正答を出せてよかったよかったと思っていました。

「この手の問題」とはどんな問題か。知識だけで解くことは困難だが、問題文の情報から正答を導き出せる問題です*2。一連の問題の基礎となる103の正答、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病を知識として覚えている受験生などほとんどいなかったのでは。そこは厚労省もわかっているのでしょう、ヒント満載の問題文を読んで考えれば解ける問題です。私が1/3を落とした理由は、最後で感覚に頼ってしまったため、読めていなかったためですね。*3*4*5

閑話休題。日看学協の物言いを見てみましょう。

  • 4以外は正解と考えられるが、適切とは言えない。

  • 水分摂取は必要であるが、積極的にという表現はあいまいである。

  • 「記録する」とあるが、同時に「受診をすすめる」が妥当と言える。
  • 成長期にある患児の蛋白質制限は慎重に行なう。

いずれにしても、13歳の男児にする指導としてはあいまいで効果的なものではない。

(日本看護学校協議会『第104回保健師、第101回助産師及び第107回看護師国家試験提出要望書』より)

つまり、厚労省が設定した正答である2が適切か否かですね。あ、結論を問題の解法として註釈に書いてしまった。適切でしょ。

上述の註釈を繰り返しますと「腎機能の状態により1, 3は判断するところになるが、クレアチニンは悪くなく、浮腫もないため、水分増やタンパク質減までは不要か。残るのは2。次の受診が1か月後予定というところに、多少の症状は様子見という判断が透けている。2の記録のみ、受診なしと矛盾しない。2. 紫斑の記録を選ぼう。」また、日看学協は自分で2が適切であることを言っています。1, 3は指導そのものが不適切だと行っているのだから、残るは2。2は指導そのものに問題はないのだから、選んだらいいわけです。

日看学協としては、看護教育の中で、こーゆー場面では大事をとって受診と指導すべしとしているのでしょう。しかしこの場面が現実なら、医師に「受診なし、記録だけでいいですか?」って確認したらいいと思いますし、むしろそういうやり方が彼らも重視するチーム医療なのでは。こーゆー場面がどうこう以前に、日本国民全員に医療費削減という至上命題が課せられている昨今でもありますからね。ひとまず受診って指導はまずいと私は思います。

午後105に対する物言いは不適当、日看学協は4敗目を喫し負け越し決定

ここまで6戦で2勝4敗。全7戦ですから負け越し決定です。受験前、物言いがこの程度のものだとは知らなかったよ。

107回 問題番号 日看学協
午前18
午前100
午後22
午後24
午後65
午後105
午後114

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*1:その筋では、状況を設定する問題文のあとに選択肢を持った設問がいくつか続く問題を「状況設定問題」と呼んでいます。

*2:記憶力に劣る私は、試験において、考えれば解ける「この手の問題」を得点する戦略を採っています。

*3:103: CRP低く発赤なし、川崎病はない。凝固問題なし、血友病もない。白血球数問題なし、急性リンパ性白血病もない。男子で紫斑は下腿のみ、抗核抗体陰性、SLEもない。(ここまでは看護学生が普通に覚えている疾患群。)腎臓に何かありそう、IgAが悪さしている可能性も矛盾しない、残った5. ヘノッホ・シェーンライン紫斑病を選ぼう。

*4:104: 「尿の異常」の原因としてまず疑うのは腎臓、103の選択とも矛盾しない。「確定診断」は生検が基本、1. 腎生検を選ぼう。

*5:105: 日光を避けるのはSLEに対する典型的な指導、手持ちの知識だけで105と103を解こうとする人向けの罠。選択肢1~3から選択する。腎機能の状態により1, 3は判断するところになるが、クレアチニンは悪くなく、浮腫もないため、水分増やタンパク質減までは不要か。残るのは2。次の受診が1か月後予定というところに、多少の症状は様子見という判断が透けている。2の記録のみ、受診なしと矛盾しない。2. 紫斑の記録を選ぼう。