足の親指を深爪して爪囲炎*1になりました。たまにやるんですが、地味に痛いんですよね。おとなしくしておけばいいものを、普通に歩くから靴が当たり余計に治らない。
さて、今回はこの身近な病気を通して、半年間看護学生やってるとこうなるよってのをお伝えします。
蜂窩織炎ですよ、好中球ですよ
爪囲炎(paronychia)は炎症の種類で言えば蜂窩織炎(cellulitis)。何らかの細菌感染、大抵は常在菌、黄色ブドウ球菌による感染を受けた後、好中球が細菌を食べてお掃除している状態ですね。食べた結果が膿汁。
膿汁の色は要注意で、黄色なら前述の通り黄色ブドウ球菌あたりでしょうが、緑色だと緑膿菌の恐れがあります。緑膿菌に感染することは健康な人だとまずないはずなので、緑色なら(きっとびっくりしてそうするでしょうが)とっとと病院へ。
爪囲炎を起こす常在細菌は、その名の通り、常にその辺、人の身体にすらいる細菌。しかし極めて弱い菌であることから、通常、人に悪さはできません。ところが人の身体が弱っていれば細菌の力が勝り、感染して病気を起こす。私の周囲炎の場合、深爪で傷付いたところをやられたわけです。このような感染を日和見感染(opportunistic infection)と呼びます。日本語だと専門用語っぽくありませんが、教科書に太字で書かれるほどのものです。
爪囲炎、と言うか蜂窩織炎そのものは病理学で学びます。その病理学が、今月唯一の試験でした。試験と言えばおなじみの教科書紹介。
疾病のなりたちと回復の促進〈1〉病理学 (系統看護学講座 専門基礎分野)
- 作者: 大橋健一
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2015/01/06
- メディア: 単行本
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網羅的にわかりやすく書かれておりおすすめ。足りないかなってところは本書のキーワードをGoogle先生に投げれば山ほど解説が返ってきます。
ちなみに病理学の試験は例年及第点に満たない人が多く、難しいとされています。多肢選択式にもかかわらず半数が落とします。一夜漬けが効かないってのもあるんですが、病理学は病理学だけでは理解しがたいとこも原因なのでしょう。
常在細菌、日和見感染については微生物学。夏休み明けに終わった試験として紹介しましたね。この教科書もおすすめ。
系統看護学講座 専門基礎 〔6〕―疾病のなりたちと回復の促進 微生物学 4
- 作者: 南嶋洋一
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2014/01
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オーバルの方が可愛いんだけどね
深爪による爪囲炎を防ぐにはどうしたらよいか。要は深爪をしなければよいのですが、深爪しやすい、しにくい爪の切り方ってものがあります。ま、この辺は爪にいろ縫ったりする肩だとすでにご存じかも知れません。
- 深爪しやすい: オーバル(卵形に爪先を整える)
- 深爪しにくい: スクエアオフ(四角型に爪先を整える)
私が爪囲炎にかかるときは見事にオーバルで切ってるからね。わかってるんだよ、特に足はスクエアオフにしとけって。でもなんだか、両脇を落としたくなっちゃうことがあるのだよ。そして後悔するわけだ...。
看護において、この爪の切り方は重要です。爪囲炎はまさにわかりやすい例。入院患者さんは概ねで身体が弱っているわけで、易感染な状態、日和見感染を受けやすい状態です。ここでオーバルに切るリスクを冒すのは愚かにも程があろうというものです。
その辺の看護技術について書かれている教科書はこれ。試験は来月だったかな。
- 作者: 深井喜代子
- 出版社/メーカー: メヂカルフレンド社
- 発売日: 2012/01
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看護学生がこれ言っちゃまずいんでしょうが、看護技術の教科書は「ふーん」って感じですかね。わかりやすいとかわかりにくいとか思うことはありません。これもご多分に漏れず。爪切りについては整容技術として記されています。
この教科書『基礎看護技術 II』では診療に伴う技術、呼吸と循環、創傷、与薬と輸血に関する技術が含まれていますので、割と看護学生以外が読んでおもしろい内容なのかも知れません。
とゆわけで、ナスたま1年生も折り返し地点になると、これぐらいは話をできるようになるようです。
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*1:瘭疽とも呼ばれます。化膿性の炎症ですね。