今月11日でしたか、米国カリフォルニア州にて死ぬ権利(right-to-die)を認める法案が議会を通ったそうですね。世界は一つの空の下。どこかでこんな話が出ると、身の回りでも改めて話題になったりするものです。また、これからの季節、入試の小論文テーマとしてもよく出されることでしょう。
今回はこの死ぬ権利について考える上で、おもしろいかなと思う考えを2つ、取り上げます。ん? 私の意見? んなもん言うまでもなく自由に死ねるようにしてくれですよ。
「死ぬ権利」はちょっと違うんじゃない? 派
みなさんご存じ日野原重明氏の著作たる教科書から。
しかし、死ぬことは生まれることと同様、人間の権利として受け止める範疇のものと解するには異質のものではないだろうか。異質のものであるからこそ、人間あるいは生命の尊厳があるといえよう。
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なるほど、さすがに重鎮。たった3行に唸らされます。生死ついて決定する権利を有するとなれば、数歩先には、戦争のために人間を生産し、戦争のために人間を殺すことが正しいんだとかなりそうです。確かにどこかで、我々が手を出せない絶対領域*1を有することは必要かも知れません。
「死ぬ権利」もないとバランス悪いんじゃない? 派
「妊活」という言葉を聞くと失笑せざるを得ない私から。妊活って結婚を迫るため*2の戦術の一つ、既成事実を作る技を示してなかったっけ?
- あらゆる行為は人間の意思によるべき、それが自由だ
- 最後の空白である死ぬこと(あるいは殺すこと)を決める権利も人間が有すべき
死ぬことについてだけ空白にしておくのはおかしいよねと。日野原氏は「生まれることと同様」とおっしゃっていますが、ここ、微妙なんですよね。「産むこと」と視点が変わりますが、我々はその権利を有しています。妊活の中でも、体外受精なんて技はそれでしょ。もっと言えば人工妊娠中絶なんて、殺す権利すら有している*3。
永遠なんて、ないよ vs. 永遠はあるよ
この手の話をするとき、真っ向から殴り込むより「永遠の命があったら」って考えてみたらおもしろいのかなと思います。石川ローズ氏の描く『陽の当たらない小出くん』の今月連載分。吸血鬼である小出くんが人間の妹に永遠の命を与えようかと言うと、妹は女性が老いた姿のまま生き続けるなんてあり得ないと断ります。生きる、生かす手段がありながら、彼女は、彼は死を選ぶんですね。今はあり得ない様々な条件を置いて論じてみるのも、実は現実的なのでは。論じているうちに、それ、現実になるかも知れませんから。
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