夜勤病棟の女神様(仮)

ひよっこナースの日常

Merry Christmasではなくメリークリスマス

昨日、おっと、日付は変わって一昨日か、炭素回収技術研究機構(CRRA)の村木風海氏の名前を見かけて思い出しました。実は彼と私は同期なんですよ。

と言っても、大学改革支援・学位授与機構への学位授与申請が同じ2023年度4月期だってことなんですが。それで思い出したのが、彼は学位取得後、提出した学修成果レポートを公開すると言っていたことです。己のを公開するぐらいですから、他人のはもちろん読みたい。

期待外れから得る教訓

どうなったのかな、公開されているのかな、と見に行ったのですが。

Muraki, K. Methane production from carbon dioxide using aluminum foil. To be submitted.

本論文の経過補足:

実験は2017年に、広島大学のご協力の下行いました.

その後投稿の機会を窺っていましたが, 学位授与機構の条件として, 学位論文として提出する論文はジャーナル投稿前に限るという要件があり, 私自身の学士号取得の為に投稿することができないままいました. 本年度に学位取得後はすぐにジャーナルに投稿し, 発表予定です.

(炭素回収技術研究機構「機構長プロフィール」より)

んー。どうやら学士の学位を取得できていないのでは。

Google先生に聞いてみても彼が学位を取得したという情報は得られませんでした。

いろいろな見方があるかとは思いますが、私は彼の学力が学士の水準に対して十分なものだろうと見ています。東京大学理科一類および工学部で学位授与申請に必要な124単位以上を修得しているのですから。我が国で屈指の難関大学で、数学、物理学、化学を修めているわけです。少なくとも私など足下にも及ばない。

その彼が、先の記事の通りそこまで難度が高くないであろう学位授与試験を、学力を理由に落とすとはどうにも考えにくい。ではなぜ学位を得られていないのだろうか。

推測に推測を重ねるわけですが。彼の学修成果レポートが上述引用部の通りの表題で、学位授与申請に通らなかったのでは。学修成果レポートは日本語で作成しないとならないんですよ。

この手の話はバカにするようなことではなく、結構やらかしがちです。私などは日本語でしか書けないから同様の誤りはあり得ませんし、作成アプリケーション検討のため様式を細かくチェックしたりするのですが。Twitterか何かで申請不受理となった理由がレポートの様式、ページ数にあったような話を見かけた記憶もあります。

申請条件への適合が甘いと32,000円と半年を失いかねないので、今後申請を考えている人は地味な話ですが『新しい学士への途 学位授与申請案内』を申請前に読み返すべきです。条件を誤って思い込んでいること、まさに意外とありますからね。

なお、彼がその後10月期に申請していれば、結果が出るのは来年2月下旬。学修成果レポートが読めることを楽しみにしたいと思います。


私が昨日、今年のクリスマスイヴに買ったプレゼント。ではみなさん、メリークリスマス。よい夜を。

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学修成果レポートの長いあとがき

じんぐっべー、じんぐっべー、すっずっがーなるー。

昨日公開した学修成果レポートについて、言い訳する時間がやってきたよ。

テーマと弱い結論

現役の臨床看護師なので、臨床からネタを持ってくるってのは自然なところだと思います。身近にこんな問題があって、それは割と世間で共通の問題で、原因はこうで、解決策はこうかな。という流れがいいよね。ってことで、身近な問題から身体拘束を取り上げてみました。

私は本当に身体拘束が嫌いで、やむを得ず本人に了解を得られた場合*1以外は縛りたくないんです。そこには違法性の認識もありますが、必要性への疑問もあるのです。急性期一般入院料1をもらって治療をする中で、身体拘束は治療に必要なのか、寄与しているのか。大体答えは否だと思うんですよ。

加えて身体拘束を巡る看護師の認識には許されない問題があるという感覚を持っていました。法治国家である我が国において度しがたい問題、それは拘束をする看護師に違法性の認識がないということ。法は知らなかったでは済まされません。済まされるなら殺し放題、スピード出し放題ですよ。そんなバカなと思うでしょうが、院内では縛り放題になっている。このことを見聞きした情報だけではなく、確固たるデータとして示せたらそれなりのレポートになるかな。とfeasibility studyしてみたところ、結構いけそうだということで書くに至りました。

結果、それなりの論拠で法は知らずに縛り放題、それでも縛るのは好ましくないと感じつつ縛ってしまう言い訳のお気持ち表明が横行していることを示せました。「思う」とか「感じる」ってのを「である」って置き換えられたことには高い価値があります。

余談ですが、看護学生時代の同級生が、身体拘束に否定的な意見を否定しているのとか見るの、結構悲しいですよ。お前はどこで違法行為に手を染めるようになってしまったんだって話ですからね。

一方、根本にお気持ち問題が絡んでいるので、臨床現場での対策はどうしても弱いものになってしまったなとは感じています。私が横断歩道を渡ろうと待っていても車を止めない連中に、私が有効に働きかける方法はありませんよね。その場だけなら、大きく手を振るとか、思い切って前に出るとか、ありますけど。そういうことです。

くどい引用記法

今回、多くの引用で「Authorによれば、あれやこれやである(Author, yyyy)。」という記法を用いています。一般的には「Author(yyyy)によれば、あれやこれやである。」か「あれやこれやである(Author, yyyy)。」ではありませんか。そう理解しつつも今回のくどい記法を採用した理由は、『新しい学士への途 学位授与申請案内 令和5年度版』において引用について妙にうるさく書かれているからです。念のため、極めて明らかな方法をとりました。

妙にうるさく書かれている理由が、過去にやらかしてしまう学生が結構多かったが故なのか、何なのか、不明です。赤信号を渡るなってのを延々と注意書きされているような状況に警戒しないわけにもいきません。『新しい学士への途』に具体的指示を伴う説明がない以上、従うべきは法令のみということになり、引用部と出典が明確なら形式はどうでもいい。そこで美しくない気がしながらも、安全側に倒した結果ですね。何となく、過去のやらかし由来で、わかっていれば気にしなくてもよいのかなと思いつつ。

こういう場面で先例があると助かるのですが、それもなかったので。今回一つの例を公開したことで、後進の方々が悩まず進める一助となれば嬉しいですね。

試験前の読み直しで気づいた過ち

参考文献として挙げたMarques et al., 2017はシステマティック・レビューで、その対象としてSze et al., 2012(これもシステマティック・レビュー)が含まれている。それにもかかわらず2本を論拠として並列に挙げています。なぜ書いていたときに気づかなかった。

試験で気づかされた今後の課題

締めの「今後の課題としたい」はお約束ですが、この課題設定が言い訳になっているなとは書いたときから思っていました。これは私が看護倫理病にかかりかけていたが故のことで、法とデータだ! 倫理なんて知ったこっちゃないぜ! という勢いで押し切れなかったんですよね。拘束と倫理を結びつけないことは手落ちなのではないかという気弱な不安から「看護という領域では倫理に関する議論が活発であり、倫理的観点を含んだ場合に、身体拘束を減らすための方策にも上述主張に比して広がりを得られる可能性がある。」としました。審査を通すための方便とも考えていたわけです。

学位授与試験が凄いところは、一人一人のレポートに合わせた試験問題であることはもちろん、その内容が鋭く学びに繋がるということなんでしょうね。私は2問出されて、1問は本人確認であろう内容の要約。もう1問は身体拘束が全廃されたとして、転倒転落やチューブ類を防止するために有効な看護、看護を行う看護師へのアプローチを説明せよというもの。いやはや、今後の課題はこれですよね。お恥ずかしい。

押すと決めたら押し切らないとダメ。ごまかすような付け足しなど達人には通用しないと痛感するとともに、試験を本当に楽しむことができました。

書いてよかったと思えたことが収穫

当初、果たして本当に臨床で有効な方策が導き出せるのだろうかと思っていました。書き進めるとその思いは強くなる一方で、いやいや、これ本当に役立つの? と。自身疑ってかかったところは「Ⅳ 身体拘束を減らす方策への批判に応える」にも含まれていて、その回答も書いているときにもどうなんだろうと思っていました。

でも、書き終えて、通して読み直すと、臨床の視点からもなるほど意外といけるのかも知れないなって方策になってたんですよね。今回一番効いたのは「身体拘束を行うよう仕向ける同調圧力の存在を示唆している」と言えたことですね。臨床の看護師にはそういう感覚を持っている人が私以外にもいるだろうと思うのですが、そこを理路整然と取り上げて、対策を考えられたことは凄くよかったなと。我が道はまだ長い。どこかで試す機会もあることでしょう。

今回レポートを書くに当たり、お作法をおさらいするために読んだ『最新版 論文の教室 レポートから卒論まで』。

その著者である戸田山和久がある対談の中で、私がよかったと感じた背景の重要性を話していました。

 卒論を書いてもらうことにはきちんとした意義があります。研究者にならない人に卒論を書いてもらわなくてもいいんじゃない? という意見もありますが、私は違うと思う。山内さんも書いている通り、卒業論文は学術論文ではないので、オリジナリティなど必要ありません。結論はありきたりのものでもいいし、誰かがすでに言っていることでもいい。そこまでの材料を自分で調べて、それをまとめて、構造を作っていくということが卒論の大切なところなんです。そのスキルは他のことに転用できるわけですから。

NHK出版 書籍編集部「「論文を書く力」は、一生もののスキルです!――対談:山内志朗×戸田山和久(後編) 」より)

学修成果レポートで求められていることはまさにこれですよね。

学修成果レポートをこれから書く人たちへ

試験まで受けて感じたのは、学修成果レポートでは単純に学問しているのかを評価したいんじゃないのかなってこと。4年制大学卒業、学士の水準ってのはそのあたりで、出来の良し悪し、論考の巧拙までは踏み込まれないのでは。

故に少し軽い気持ちで書いてみてはいかがでしょ。

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*1:インフォームドコンセントがどうのと抜かす連中が本人以外から得た署名をもってして縛ることを正当化して、どこにinformed consentがあると言えるのだろう。

サンタではないから学修成果レポート全文公開

Merry Christmas!

ちょっと早いけど予告通り、大学改革支援・学位授与機構の学位授与申請に挑戦している人たちへのプレゼント。

当方が学位授与申請で提出した学修成果レポート全文、要旨と本文を公開いたします。

ざっとウェブを検索した限り、全文公開している例は見つけられませんでした。まあ気持ちはわかります。私のにしたって出来がいいとは思っていませんし、昨今そんなものを晒して得られる可能性があるのは非難めいた反応ばかりでしょうしね。

それでも私が公開に踏み切るのは

  • ぼっち学修者にとって先例は何にも代えがたい灯火
  • 何であろうとウェブに公開されているものは財産

と信じているからです。前者は今回学位を目指していて感じていたことであり、後者は『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』を観て懐かしく思う心が育んできた精神ですかね。

その辺のあれこれや、解説というか言い訳というか今にして言えることは次回。まずはとにかく学修成果レポートをお届けいたします。

専攻

テーマ名

急性期一般病棟で身体拘束を減らすため、臨床看護師に実行可能な方策

要旨

 本レポートでは急性期一般病棟で行われている患者の身体拘束を減らすために、臨床で働く看護師らによって実行可能な方策を検討し導出することを目的とする。まず背景として、身体拘束とは何か、身体拘束の実施状況、身体拘束を行うべきでない理由、身体拘束が行われる理由を明らかにする。その上で身体拘束を減らす方策を検討、主張する。次いで同方策に対して考えられる批判に応えることで、その有効性を主張する。

 身体拘束とは診療上の何らかの目的を達するため、拘束対象となる患者の身体をひもで縛る等して、患者の行動を制限する行為である。

 9割を超える病棟では何らかの身体拘束が行われている。対象となる患者は年齢が高く、認知機能が低い傾向にある。つまり我が国で増加傾向が続いている高齢者が拘束対象となっており、今後その対象数は増加すると考えられる。

 身体拘束を行うべきでない理由は二つある。一つは対象患者の人権を侵害する違法行為だからである。もう一つは対象患者の身体、精神および人生を害するからである。踏まえて、身体拘束の実施においては切迫性、非代替性、一時性という三つの要件が課されている。

 ところが実際には多くの病棟で身体拘束が実施されている。その理由は二つ考えられる。一つめは身体拘束が違法性を指摘される行為にもかかわらず、看護師に違法性の認識が欠如しているためだ。しかし感情的には身体拘束が望ましくないと思っている。二つめは転倒転落やチューブ類抜去等、治療を中断しうる事故を防止するために身体拘束が必要と看護師が考えているためである。

 身体拘束を減らす方策は、拘束が行われる理由に対応して二つである。一つは身体拘束が可能との思考を是正するため、身体拘束を受ける体験学習を通じて身体拘束への忌避感を看護師に持たせることだ。違法性の理解を得るのは困難であると考えられ、身体拘束を望ましくないと思っている感情を強化する。もう一つは身体拘束で転倒転落は防げないという研究結果の提示である。勉強会により科学的な根拠を広めることで、看護師の持つ身体拘束が有効であるとの妄信を取り除く。

 二つの方策への批判としては次の四点を挙げた。法的な理解ではなくて感情的な解決を目指してよいのか。科学的な研究結果は看護師の行動に影響を与えうるのか。研究結果は転倒転落以外の状況について示していない。体験学習や勉強会で看護師の行動が変えられるのか。それぞれに対して主張した方策の有効性を説明する。

Ⅰ はじめに

 本レポートでは急性期一般病棟で行われている患者の身体拘束を減らすために、臨床で働く看護師らによって実行可能な方策を検討し導出することを目的とする。まず身体拘束に関する背景として、身体拘束とは何か、身体拘束の実施状況、身体拘束を行うべきでない理由、身体拘束が行われる理由を明らかにする(第Ⅱ節)。その上で身体拘束を行う理由を失わせることで身体拘束を減らす方策を検討、主張する(第Ⅲ節)。次いで同方策に対して考えられる批判に応えることで、その有効性を主張する(第Ⅳ節)。

 看護師は病院組織の一員として身体拘束を行っていることから、組織においてトップダウンで身体拘束を禁止することが身体拘束を減らすために最も有効であろう。しかし現状では身体拘束が広く行われており、この傾向は近年急激に生じたものでもない。よって幾多の組織で直ちにトップが身体拘束を禁止することは非現実的だと考えられる。このような状況下にあっても身体拘束を減少させることが必要と筆者は考え、臨床現場の看護師らで試みることのできる方策を検討した。

Ⅱ 身体拘束の背景

1 身体拘束とは何か

 本レポートにおいて検討の対象となる身体拘束とは、診療上の何らかの目的を達するため患者に対して実施される行為であって、拘束対象となる患者の行動を制限する行為である。身体拘束が具体的に何であるかは厚生労働省「身体拘束ゼロ作戦推進会議」により11の行為が挙げられており、本レポートにおいても次に示す11行為を身体拘束として定義する。

①徘徊しないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。

②転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。

③自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)等で囲む。

④点滴・経管栄養のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。

⑤点滴・経管栄養のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。

車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。

⑦立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する。

⑧脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。

⑨他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。

⑩行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。

⑪自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。

厚生労働省「身体拘束ゼロ作戦推進会議」, 2001, p. 7)

 いずれの行為であっても病棟で患者に対して身体拘束を行うのは看護師である。看護師の判断によって身体拘束がなされる場合もあれば、医師の指示によってなされる場合もある(小藤, 2018, pp. 32–33; 松尾, 2011)。本レポートでは看護師の判断によって行われる身体拘束を検討対象とする。

 病棟における身体拘束が行われる場は幅広く、一般病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、医療療養病棟、精神病棟、重症心身障害病棟とあらゆる病棟で行われている。本レポートでは一般病棟、その中でも短期での疾病治療が目的の急性期患者が入院する急性期一般病棟を検討対象とする。

2 身体拘束の実施状況

 急性期一般病棟において、身体拘束はごくありふれたものとして実施されている。全日本病院協会による7対1および10対1看護体制の一般病棟59病棟における調査では、表1に示す通り、93.1%の病棟で身体拘束11行為のうちいずれかが実施されている。11行為の中でも特に、ミトン型手袋の装着は86.2%、ベッドを柵で囲むことは80.7%と高い実施率を示している。患者の自由な行動を大きく奪う、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る行為も転落防止を目的に57.9%と半数以上の病棟で行われていることが明らかにされている。

表1 身体拘束11行為について「行うことがある」と回答した病棟の割合(全日本病院協会, 2016, p. 15 図表12より)

身体拘束行為 行うことがある割合
1)徘徊しないよう車椅子・椅子・ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る 57.1%
2)転落しないよう体幹や四肢をひも等で縛る 57.9%
3)ベッドの四方を柵や壁で囲む 80.7%
4)チューブを抜かないよう四肢をひも等で縛る 63.8%
5)手指の機能を制限するミトン型の手袋等 86.2%
6)Y字型抑制帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける 72.4%
7)立ち上がりを妨げるような椅子を使用 36.2%
8)介護衣(つなぎ服)を着せる 62.1%
9)他人への迷惑行為を防ぐためベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る 24.1%
10)向精神薬の多剤併用 58.6%
11)自分の意思で開けることのできない居室等に隔離 3.4%
1~11のうち1つ以上を実施 93.1%

 身体拘束は拘束対象患者が何かをしないようにと同患者の自由を奪うべく行われる。身体拘束11行為の説明に何かをしないようにとの表現が並んでいることからも、自由を奪う意図があるのは明白である。看護師から見て診療上行って欲しくないことを行う患者に対して、その行って欲しくないことを行う能力を抑制する行為が身体拘束である。例えば最大の実施率を示したミトン型手袋の装着について考えてみよう。末梢静脈点滴に用いるチューブを引っ張る可能性がある患者に対して、引っ張るために要される手指で物を掴む能力を抑制すべく、手指1本1本を独立して動かせなくする、さらには手指の関節屈曲を不完全なものにするためにミトン型手袋が装着されるのだ。

 身体拘束の対象となる患者は主に高齢者である。身体拘束が行われる背景には、診療上の指示に応じるのに十分な認知機能を有さない患者の存在、つまり主には認知機能が低下した高齢者の存在がある。高齢であれば高齢であるほど自然に認知機能低下が生じる傾向がある上、病的な認知機能低下を伴う認知症罹患率も高まる。入院や手術の直後等に、一時的に認知機能の低下を来すせん妄を起こす可能性も高い。齋藤・鈴木は身体拘束対象患者の特性に年齢の高さ、改訂長谷川式簡易知能評価スケールにおける評価の低さを挙げている(齋藤・鈴木, 2019)。

 そして高齢の入院患者は増加傾向にある。若年者に比べ高齢者の方が有病率が高いため、短期での疾病治療が目的の急性期一般病棟であっても入院患者には高齢者が多い。さらに我が国の高齢化率は約3割に達しており、今なお年を追うごとに上昇している。国の高齢化は入院患者の増加と高齢化にも繋がる。よって身体拘束対象となりやすい高齢入院患者は増加する傾向にあると言える。

3 身体拘束を行うべきでない理由

 身体拘束は行うべきでないと考える。その理由は二つある。

 まず一つに、身体拘束対象患者の人権を侵害する違法行為だからである。山本によれば個人の尊重を定めた日本国憲法第13条、身体の自由を定めた憲法31条、逮捕監禁を犯罪とする刑法第220条等により、身体拘束が我が国の法令に対して違反すると原則的には考えられる(山本, 2011)。

 もう一つとして考えられるのは、身体拘束対象患者の身体、精神および人生を害するからである。身体拘束は厚生労働省「身体拘束ゼロ作戦推進会議」によれば身体的および精神的な弊害を生じさせ(厚生労働省「身体拘束ゼロ作戦推進会議」, 2001, p. 6)、Lüdecke et al.によるとQuality of Life、つまり人生の質を低下させる(Lüdecke et al., 2019)。身体拘束は主に一定の場所、姿勢から動けないように患者の動作を制限するものである。よって拘縮や筋力低下といった身体機能の低下や、褥瘡を患者の身体に発生させる可能性がある。また自由を奪われることによる意欲低下、認知機能低下やせん妄が患者に生ずる可能性を高める。急性期一般病棟が目標とすることは患者の疾病治療、回復、そして早期退院であり、医療は人生の質の向上を目標に提供するものである。身体拘束は目標に対して逆行する行為であると言える。

 以上二つの理由を踏まえて、厚生労働省「身体拘束ゼロ作戦推進会議」は身体拘束の実施に対して、次に示す切迫性、非代替性、一時性の三つの要件を課している。

切迫性 利用者本人または他の利用者等の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと

*「切迫性」の判断を行う場合には、身体拘束を行うことにより本人の日常生活に与える悪影響を勘案し、それでもなお身体拘束を行うことが必要となる程度まで利用者本人等の生命または身体が危険にさらされる可能性が高いことを、確認する必要がある。

非代替性 身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと

*「非代替性」の判断を行う場合には、いかなるときでも、まずは身体拘束を行わずに介護するすべての方法の可能性を検討し、利用者本人等の生命または身体を保護するという観点から、他に代替手法が存在しないことを複数のスタッフで確認する必要がある。

 また拘束の方法自体も、本人の状態像等に応じて最も制限の少ない方法により行われなければならない。

一時性 身体拘束その他の行動制限が一時なものであること

*「一時性」の判断を行う場合には、本人の状態像等に応じて必要とされる最も短い拘束時間を想定する必要がある。

厚生労働省「身体拘束ゼロ作戦推進会議」, 2001, p. 22)

4 身体拘束が行われている理由

 身体拘束には違法性、治療に対する逆行性があるにもかかわらず、身体拘束が行われ続けているのはなぜだろうか。全日本病院協会による調査では身体拘束11行為にそれぞれ対して「理由を問わずに避けるべき」と答えた7対1および10対1看護体制の一般病棟の割合は表2に示す通りである。ミトン型の手袋等を着ける行為に対しては避けるべきとの割合が最も低く、5.1%に留まった。つまり調査対象中94.9%の病棟で、看護師は何らかの理由に基づき身体拘束に該当する行為が可能だと考えていることになる。その理由が何であるかを二つの面から検討したい。第一の面は違法性が指摘される行為にもかかわらず身体拘束を実施可能と考える理由である。第二の面は患者に対して身体拘束が必要だと判断する理由である。

表2 身体拘束11行為について「理由を問わず避けるべき」と回答した病棟の割合(全日本病院協会, 2016, p. 18 図表16より)

身体拘束行為 避けるべきとする割合
1)徘徊しないよう車椅子・椅子・ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る 39.0%
2)転落しないよう体幹や四肢をひも等で縛る 29.3%
3)ベッドの四方を柵や壁で囲む 13.8%
4)チューブを抜かないよう四肢をひも等で縛る 32.2%
5)手指の機能を制限するミトン型の手袋等 5.1%
6)Y字型抑制帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける 13.6%
7)立ち上がりを妨げるような椅子を使用 40.7%
8)介護衣(つなぎ服)を着せる 16.9%
9)他人への迷惑行為を防ぐためベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る 54.2%
10)向精神薬の多剤併用 30.5%
11)自分の意思で開けることのできない居室等に隔離 78.0%

 第一に、違法性があるにもかかわらず看護師が身体拘束を実施可能と判断しているのはなぜか。看護師がその違法性を認識していないからである。松尾によると身体拘束を行う看護師は身体拘束対象となる患者を尊重できていないと感じている、患者に加え家族に対しても申し訳ないと思う等、身体拘束に後ろめたさを感じている(松尾, 2011)。一方で法令に反する可能性への懸念は示されていない。つまり身体拘束を望ましいものとは考えていない現状はあるが、望ましく考えない理由は看護師の感情的なものであり違法性ではない。

 違法性の観点からも身体拘束を制限すべく課されている三つの要件、切迫性、非代替性、一時性は身体拘束時に検討されているのだろうか。渡邊・齋藤によれば、三つの要件の満足が検討されることはない。生命の維持に危険を及ぼすことが予測されるとの切迫性の検討こそ含まれることがあったものの、非代替性や一時性の検討は含まれなかった(渡邊・齋藤, 2021)。

 第二に、身体拘束が必要と判断される理由は何であろうか。Nakanishi et al.による国内937病院における調査の結果を表3として示す。上位の理由は転倒転落を防ぐため、チューブ類抜去を防ぐためである。それぞれ関連する理由をまとめると、転倒転落を防ぐためが58.5%、チューブ類抜去を防ぐためが28.6%。この二つの理由が全体の87.1%を占めている。

 転倒転落およびチューブ類抜去を防ぐという理由は、治療が中断される可能性や外傷等の危害が加わる可能性、つまりは治療を受ける入院患者にとっての不利益を危惧したものである。身体拘束は急性期一般病棟が目標としている患者の疾病治療、回復、早期退院を達成するための手段の一つと位置づけられ、最善の診療のために身体拘束が必要だと判断されていると考えられる。

表3 身体拘束を行う理由(Nakanishi et al., 2018, Table 1より、筆者訳)

理由 全理由に占める割合
転倒転落の可能性 47.4%
チューブ類抜去の可能性 14.0%
チューブ類抜去したことがある 9.6%
転倒転落したことがある 5.9%
転倒転落しそうになったことがある 5.2%
チューブ類抜去しそうになったことがある 5.0%
糞便に関する問題行為 2.3%
徘徊 1.7%
脱衣 1.6%
暴言 0.9%
皮膚の掻破 0.8%
自傷 0.2%

 加えて、松尾によれば看護師には自分が身体拘束を行わないことによって事故を起こしたくないとの思いがある(松尾, 2011)。入院患者の転倒転落、チューブ類抜去は病棟において看護師が起こした事故として取り扱われる。高齢の患者は筋力低下により歩行時の転倒や離床時の転落を起こしやすい。認知機能が低下している患者は非日常的なチューブ類留置の必要性を理解することが難しく、チューブ類抜去を起こしやすい。彼らが起こす事故を防ぐためには問題となる動作ができないよう身体拘束すればよい。看護師はこのような思考を有しており、身体拘束が必要との判断に至っているものと推察される。

 また、松尾、渡邊・齋藤は、看護師が身体拘束を実施する際には他の看護師への慮りがあり、自分だけが身体拘束を行わない選択はしがたいとの思いがあると示している(松尾, 2011; 渡邊・齋藤, 2021)。看護師のこの思いは、身体拘束を行うよう仕向ける同調圧力の存在を示唆している。身体拘束が広く行われている現状を踏まえると、多くの病棟で同調圧力が身体拘束を促しているとも考えられる。

Ⅲ 身体拘束を減らす方策

 身体拘束は行われるべきものではないが、実際には多くの病棟で行われている。この隔たりを解消し、身体拘束を減らすための方策は何であろうか。上述の通り身体拘束が行われるのには理由がある。故にその理由が失われれば、身体拘束は行われなくなると考えられる。身体拘束を減らす方策として、二つの面から示した身体拘束が行われる理由一つずつについて、その理由を失わせる対策を検討したい。

 第一の策は身体拘束を実施可能と判断している思考の是正である。身体拘束の違法性を認識させることが直接的に有効であると言えるが、それが可能であるかは疑わしい。看護師は保健師助産師看護師法によって一定の行為を許される存在、法令によって生み出される存在、法令がなければ維持されない存在なのである。故に法令を理解していて当然であるはずの人々なのだ。それにもかかわらず法令の理解が不足している、身体拘束の違法性を認識していない現状にあって、改めて看護師に違法性の認識を求めるのは難しいのではなかろうか。違法性の啓蒙は重要だとしても、看護師の考え方を改める唯一の策としては脆弱であると言わざるを得ない。

 身体拘束を実施可能とする看護師も、身体拘束を望ましいものとは考えていない。そして望ましいものと考えない理由は感情的なものであった。踏まえて身体拘束が望ましくないとの感情を強化し、身体拘束を忌避させることは、身体拘束を実施可能と判断させないために有効であろうと考える。齋藤・佐藤は看護学生が実際に身体拘束を受ける演習を通じて、患者の恐怖や苦痛を実感し、身体拘束を行わない重要性について理解できたとしている(齋藤・佐藤, 2020)。看護師と看護学生を比較すると、臨床での実務経験の有無という差はある。しかし看護師も看護学生同様に身体拘束を望ましくないものと感情的に捉えている類似性がある。よって体験学習を通じて身体拘束を感情的に受け入れがたいものと捉えるよう看護師を導くことは、身体拘束に関する思考の是正策として有力であると考えられる。

 身体拘束の体験は学生の演習同様、病棟の看護師が実際に拘束されてみることを想定している。病棟の空き病床でも、拘束方法によってはナースステーションでも実施できる。拘束される体験を行う際には、拘束する体験をするものも現れる。身近な同僚の四肢をひも等で縛るとなれば、拘束する側の思考に影響を与えることも期待できる。この拘束の体験は臨床現場の看護師のみによって実施可能な策である。

 第二の策は身体拘束によって得ようとしている結果が実は得られないという研究結果の提示である。看護師は転倒転落の可能性やチューブ類抜去の可能性から身体拘束が必要と判断し、転倒転落やチューブ類抜去が起こる前に身体拘束を実施している。故に彼らは身体拘束を行わなかった場合に本当に転倒転落やチューブ類の抜去が起こるのか、その結果を知らない。言い換えれば身体拘束の有効性を検討、検証せず、身体拘束の有効性を妄信して身体拘束を行っている。しかし研究結果によれば身体拘束の有効性は彼らが信じているようなものではない。

 Sze et al.は様々な方法での身体拘束が患者の転倒に影響しないことを示している(Sze et al., 2012)。Marquesは高齢患者の転倒発生について、ベッドの柵を使用した場合と使用しない場合とで差を見いだせなかったとしている(Marques et al., 2017)。身体拘束を行う最上位理由は転倒転落の防止であるが、科学的には身体拘束で転倒転落が防げないと示されている。有効性を信じて身体拘束を必要と判断してきた看護師に対して身体拘束が有効ではないことを伝えられれば、彼らが身体拘束を必要と判断しなくなると考えられる。

 この方策の実施方法は看護師らによる勉強会や資料配付で情報を伝えていくこととなる。この策も臨床現場の看護師のみによって実施可能である。

Ⅳ 身体拘束を減らす方策への批判に応える

 本レポートでは身体拘束を減らす方策として二つの策を導出した。これらに対してはどのような批判が考えられるだろうか。四点を取り上げ、方策の有効性を論じたい。

 第一に、法的な是非の理解をさておいて感情的な解決を目指してよいのかという批判である。違法であるから行わないのが本来あって、やりたくないからやらないという状態に導くことは問題であるという批判だ。

 法令遵守という結果のために重要なことは、法に定められた範囲内での行動であり、違法となることをしないという行動である。違法性は行動に対して問われるものであり、感情に対して問われるものではない。そもそもどのような感情を各自の内面に抱くことも自由であると、日本国憲法第19条で保障されている。例えば筆者が何者かを殺したいと考えていたとして、殺すという行動を起こさなければ何ら問題はない。それどころか殺したいと考えることは法によって保障されているのである。感情に由来する思考による判断だとしても、看護師が身体拘束を行わなければ、事実として違法性のある身体拘束は行われていないのだ。もちろん患者において身体拘束による悪影響が生じることもない。身体拘束を減らすという観点からは問題ないのである。

 第二に、科学的な研究結果という情報が看護師の行動に影響を与えられるのかという批判である。すでに論じたように違法性の理解すら乏しい看護師が科学的な根拠で行動を変えうるのだろうか。

 確かに、科学的な研究結果に理解を得られぬ可能性は否定できない。しかし看護師が身体拘束を行う理由を挙げる中で、身体拘束が科学的に有効ではないとの情報を含んではいなかった。看護師養成課程で用いられる教科書においても、身体拘束を廃止すべきとの解説や三つの要件の説明はあるが、身体拘束が科学的に有効ではない場面があることについては記されていない(北川他, 2018, pp. 60–63; 堀内他, 2023, pp. 344–348; 水谷他, 2022, pp. 78–83)。臨床にある看護師は身体拘束が科学的に有効ではないとの情報に触れたことがない可能性がある。故に看護師が新たな情報を得ることで身体拘束の実施について再検討することは期待できるだろう。

 第三に、先に挙げた研究結果は転倒転落に関するものであって、それ以外の事態、例えばチューブ類抜去についての有効性を示すものではないとの批判である。

 これは批判の通りである。しかし本レポートの検討目的は身体拘束を減らすことである。身体拘束をなくすことは最高の到達点だと言えるが、目的においてそこまでは求めていない。先に示した通り、身体拘束を要するとの判断に至る理由の約6割が転倒転落を防ぐためである。次点の理由となるチューブ類抜去を防ぐためと比しても約2倍の割合なのだ。それだけ大きな割合を占める転倒転落対策において身体拘束が有効でないと示せることは、身体拘束を減らすのに十分に寄与すると考えられる。

 第四に、体験学習や勉強会で看護師の行動に影響を与えられるのかという批判である。

 小藤は各自のe-Learning受講や各部署での勉強会、高齢者体験スーツを用いた体験学習会は身体拘束を減らすことに有効であったとしている(小藤, 2018, pp. 39–43)。小藤の示した例はトップダウンで身体拘束の全廃を目指していた状況下にあり(小藤, 2018, pp. 14–15)、本レポートで想定している組織のトップが身体拘束を減らすことに強い意志を持たない状況下で同等の効果を期待されるものではないだろう。しかし身体拘束を行う理由に他の看護師への慮り、周囲の看護師との同調が含まれていたことを踏まえると、一定の効果は期待できるものと考える。任意の看護師が直接関わる範囲の看護師、例えば同一病棟内の看護師らが勉強会等によって一斉に身体拘束では転倒を防げないとの情報を得れば、同調効果を得て多くの看護師が身体拘束を行わない方向へと行動を変える可能性はある。

Ⅴ まとめ

 本レポートでは急性期一般病棟における患者の身体拘束とは何か、身体拘束の実施状況、身体拘束を行うべきでない理由と行われている理由を明らかにした。また臨床で働く看護師らによって実行可能な身体拘束を減らすための方策を検討した。

 病棟における身体拘束をなくそうとしたとき、本レポートで検討の前提とした臨床の看護師らによる手法のみでは不十分であることは否めないだろう。冒頭で論じた通り、トップダウンでの施策が最も有効であり、必要であると考える。しかしトップダウンで身体拘束の撲滅を目指す際にも、臨床現場への浸透を図る場面で本レポートでの主張は有用であると確信している。

 本レポートでは身体拘束を行うべきでない理由として、違法性と治療に対する逆行性を示した。事実として、目に見える事象として現れるものを取り上げた故の理由である。しかし身体拘束を行うべきでない理由はさらに深い検討が可能な論点である。身体拘束を一般的な表現として言い換えれば、他人の自由を奪うことだ。自由は不可侵なものか否か。これは倫理の問題でもある。違法性を有する背景とも併せて、倫理的観点による身体拘束を行うべきでない理由の検討も重要だと考えられる。看護という領域では倫理に関する議論が活発であり、倫理的観点を含んだ場合に、身体拘束を減らすための方策にも上述主張に比して広がりを得られる可能性がある。この点は今後の課題としたい。

参考文献

  • 北川 公子, 荒木 亜紀, 井出 訓, 植田 恵, 岡本 充子, 小野 光美, 北村 有香, 桑田 美代子, 佐々木 八千代, 白井 みどり, 末弘 理惠, 菅原 峰子, 高岡 哲子, 竹田 恵子, 長瀬 亜岐, 長畑 多代, 萩野 悦子, 原 等子, 松岡 千代, ...吉岡 佐知子. (2018). 老年看護学 第9版. 医学書院.
  • 厚生労働省「身体拘束ゼロ作戦推進会議」. (2001). 身体拘束ゼロへの手引き 高齢者ケアに関わる全ての人に.
  • 小藤 幹恵 (編集). (2018). 急性期病院で実現した身体抑制のない看護 金沢大学附属病院で続く挑戦. 日本看護協会出版会.
  • 齋藤 甚, 鈴木 久義. (2019). 入院患者における身体拘束に関連する要因の検討. 日本老年医学会雑誌, 56(3), 283–289.
  • 齋藤 美華, 佐藤 千穂. (2020). 学生主体による高齢者の身体拘束に関する演習をとおした学生の学び. 老年看護学, 25(2), 132–139.
  • 全日本病院協会. (2016). 身体拘束ゼロの実践に伴う課題に関する調査研究事業 報告書.
  • 堀内 ふき, 諏訪 さゆり, 山本 恵子 (編集). (2023). 老年看護学(2)高齢者看護の実践 第6版. メディカ出版.
  • 松尾 香奈. (2011). 一般病棟において看護師が体験した認知症高齢者への対応の困難さ. 日本赤十字看護大学紀要, 25, 103–110.
  • 水谷 信子, 水野 敏子, 高山 成子 (監修), 三重野 英子, 會田 信子, 深堀 浩樹 (編集). (2022). 最新 老年看護学 第4版 2022年版. 日本看護協会出版会.
  • 山本 克司. (2011). 医療・介護における身体拘束の人権的視点からの検討 一宮身体拘束事件判決を参考にして. 帝京法学, 27(2), 111–138.
  • 渡邊 智子, 齋藤 美華. (2021). 中小規模病院の一般病床における看護職の高齢者の身体拘束を開始するきっかけと判断理由. 老年看護学, 26(1), 105–113.
  • Lüdecke, D., Poppele, G., Klein, J., & Kofahl, C. (2019). Quality of life of patients with dementia in acute hospitals in Germany: a non-randomised, case-control study comparing a regular ward with a special care ward with dementia care concept. BMJ Open, 9(9).
  • Marques, P., Queiros, C., Apostolo, J., & Cardoso, D. (2017). Effectiveness of bedrails in preventing falls among hospitalized older adults: a systematic review. JBI database of systematic reviews and implementation reports, 15(10), 2527–2554.
  • Nakanishi, M., Okumura, Y., & Ogawa, A. (2018). Physical restraint to patients with dementia in acute physical care settings: Effect of the financial incentive to acute care hospitals. International Psychogeriatrics, 30(7), 991–1000.
  • Sze, T. W., Leng, C. Y., & Lin, S. K. (2012). The effectiveness of physical restraints in reducing falls among adults in acute care hospitals and nursing homes: a systematic review. JBI library of systematic reviews, 10(5), 307–351.

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16年後の挑戦

突然に別科入試特集が並んで「え? 看護師やめるの?」的な感じになってしまったので、今回は看護師をやめて別科そして養護教諭を目指すに至った経緯を書いてみましょう。まあそんな反応が得られるほどに読まれてはいないのですが。

借りを返そう

当初より5年間は稚内にいると言ってきたのですが、今年の春、その5年間を過ぎました。いよいよ次を考えようとなったわけです。

  1. 看護師として別の場所に移る
  2. 全く新しい何かを始める

さてどちらにしようかな。システムエンジニアから看護師への転身で味を占めましたよね。積み木を崩して積み直すのは結構おもしろいんですよ。故に、看護師以外の道を選ぶことになりました。

そこで偶然にも養護教諭特別別科の情報に触れたのですよ。

実はかつて養護教諭を目指したことが一度あり、その際には通信制大学での免許取得を狙いました。が、確か1単位も取れずに散ったのは先にちらりと書いたとおり。通信制大学での失敗を成功に変えた今、養護教諭免許も改めて取りに行こうじゃないかと。

美少女になってみよう

では過去に養護教諭を目指したのはなぜか。『保健室 ~マジカルピュアレッスン♪~』というゲームに出てくる自称保健室の女神様、春日鞠奈が可愛かったから。

春日鞠奈
BunBun『保健室へようこそ ~マジカルピュアレッスン♪~』DEMOムービーより*1

お待たせいたしました、きっと期待に応えられていることでしょう。えっへん。でも鞠奈先生みたいな子とどうにかなりたいのではなく、鞠奈先生になりたいってところに多少なりともまともさを感じていただきたい次第。美少女ゲームというかエロゲーである同作において頭がおかしい、いわゆる電波なヒロインなんですが、それ故に保健室を今で言うサードプレイスに作り替えてしまうんですよね。元々保健室にはそれに近しい機能があるわけですが、こうも完璧にやるとは。凄いなー、あたしもやってみたいなー、と。まあ現実的にアレは無理だけどさ。

ちなみに2007年の三が日に同作をプレイしてから、途中消えたりしながらも*2私の携帯電話の壁紙には春日鞠奈が生き続けています。Samsung 708SC、シャープ 202SH、京セラ A202KCと引き継がれて今に至ります。何となく画像ファイルを引き継いできた結果、まさかこんなことになろうとは。

A school nurse moved. Marina Kasuga from Hokenshitsu Magical Pure Lesson is still fine in my new feature phone.

病気をなくそう

あまりにまともな理由なので最後に持ってきてしまいましたが、病院にいて感じたことがあって養護教諭を目指すというのもあります。患者になる前の生活習慣を変えたいと思ったんですよ。狭義には生活習慣病を減らしたいと、広義には健康行動や受療行動を改善したいと考えれば、最も有効な方法は教育なのです。教育ですから言うまでもなく、若い世代に対するものが効果絶大なわけです。

公衆衛生学的な言葉遣いでは一次予防(病気にかからないようにする)、二次予防(病気を早く見つける)のあたりをやりたいなと。病棟にいて思うのは、生活習慣病のなれの果てがいかに悲惨なものかということです。本人にとっても、社会にとっても。COPDや糖尿病性腎症なんて本当に苦しそう。そして治療には高額な税金が突っ込まれています

また、寝てりゃいいのに病院に来て俺は患者様だと吠える連中、夜の方が都合がいいからとか空いているからとかで救急外来に来る連中をどうにかしたいとも思うのです。病棟、特に夜勤病棟で辟易とするものの代表格。ならば改善しに行こうぜ、と。

飛び込んでみよう

そんなこんなで別科への進学を決めてしまいました。

実のところ夏前までは来年度からとまでは思っていなかったので、備えが不足しております。ええ、本当にお金がないんですよね。CBR1000RR-R Fireblade買ってただろってのは鋭いツッコミで、その分が貯金されていれば楽勝だったんですけどね。いやいや、Firebladeに乗りたかったんだもん。こんな状況ですから何かと苦労しそうですが、話のネタにはなりますかねぇ。適度な厳しさで止まって欲しいけど。


保健室というシチュエーション、自称保健室の女神様という電波にぐっとくる人以外には正直おもしろくないゲームだったよ。

でも美少女ゲーム全盛期だったからね、PS2にも移植されたんだよ。

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*1:現時点でムービーを配布していたウェブページは消失しているが、Internet Archiveからダウンロード可能

*2:ソフトバンク回線がスマートフォンだった間は画面にいなかった。

7日間15時間で合格する別科入試

いよいよクライマックス、別科入試特集第3回は試験勉強について。時間がないあなたも経験と結果に基づいたこの勉強法で勝てる、はず。

  1. 別科入試特集 第1回 概観
  2. 別科入試特集 第2回 試験問題分析
  3. 別科入試特集 第3回 試験勉強法 (この記事)

どんと掲げたとおり、7日間15時間で合格圏内に入れてみせましょう。

I passed the admission exam for the Course for School Nursing Teachers, Hokkaido University of Education.

目標設定

言うまでもなく合格。北海道教育大学 養護教諭特別別科 一般入学試験に合格することです。

これを大胆かつ定量的に、試験で90点を取ると言い換えてしまいましょう。

実際に合格した解答を自己採点すると、90点前後です。配点10点の記述式問題があるのでぶれますが、低くて80後半、高くて90前半ってところです。この実績から目標を90点に定めています。細かく言うと、記述式以外で5,6点は落としていい。記述式では満点を狙わなくていいが、半分ぐらい取れるよう書ける。目標はこの水準です。

いくら他人との競争とは言え、筆記試験で9割取って不合格ってのはさすがに。もうそれは諦めもつくなとも思うわけです。そんな観点からも目標は90点で合格。

この目標設定は大切にしてください。くれぐれも100点を狙わない。試験においてとても重要なことです。

試験勉強の準備

教科書を手に入れよう

まずは「公衆衛生学」の教科書を入手しましょう。看護学校で使われる、1冊完結の教科書を選びます。間違ってもで保健師課程で使われるような分冊のものを選んではいけません。なぜなら1冊完結の教科書の内容で90点を取れるからです。たった7日間しかないのです。余計なことをしてはいけない。

もしあなたが看護学生で、看護学校で使っている教科書を持っていればそれで構いません。新たに買う必要はありません。3年制の看護学校の場合、公衆衛生学は大体1年次に入ってくるはず。となればちょっと古い教科書になるわけですが、全く気にしなくて結構です。これから買う方も同じです。この入試に対しては5年前、10年前の教科書でも問題ありません。

教科書を持っていない社会人の方でしたら、適当なのを買いましょう。いくつか例を挙げてみます。

私が買ったのはこれ、ヌーベルヒロカワの『わかりやすい公衆衛生学』。2015年発行と古く見えますが、刷版を重ねるごとに統計値は改められています。まあ、繰り返しになりますが、多少古いのはどうでもいいです。私はAmazonマーケットプレイスの古本が40円(+ 配送料240円)だったからこれを選びました。280ページと薄くさらっとした内容で、章立ては別科入試に使いやすい。別冊付録「整理ノート」の確認問題もお役立ちです。新品の2,420円だったとしてもおすすめできます。

看護学校のみならず医学部でも採用される、公衆衛生学の標準教科書と思しき南江堂『シンプル衛生公衆衛生学』。私も看護学校時代はこれでしたが、淡々と書かれていてつまらなかった記憶しかないんですよね。420ページと厚い。ヌーベルヒロカワと比べると140ページも多く、5割増しです。そーゆーのが好きな人向け。おすすめはしない。

今時な看護学生向け教科書、メディカ出版『ナーシング・グラフィカ 公衆衛生』。試験会場で隣の人が持っていたので取り上げてみた。隣の人は旧版だったので、現役の学生だったのだろうか。読んだことがないので目次を見た限りですが、普段公衆衛生に興味がない人には良さそうな感じ。概論の部分が非常に丁寧で、公衆衛生を包括的に捉えるところから入れる。試験においては迷ってしまう問題が出たときに、検討する材料をたくさん得られそう。370ページ、上2つの中間。

過去問を手に入れよう

北海道教育大学のウェブサイトから過去問を手に入れよう。3年分ダウンロードできます。

前回の分析結果も踏まえ、3年分で十分です。あれこれすればもっと古いのも手に入れられますが、これまた余計なことです。

試験勉強

Day 1 過去問を解き、調べる(1.5時間)

まずは過去問を1年分/日で解いていきます。1日目は去年の問題。過去問は新しい方から解いていくのがおすすめ。最新の統計や法令を調べながら進めていくので、現状と問題との乖離が少ないところからの方がわかりやすいですよね。

まずは問題を解いてみる。わからないところは空欄で構いません。おそらく5割以上の正答率になりますが、よほどの人でない限り9割には乗らないはず。9割を超えられた人は3年分解いてみて、それでも全て9割超えているならもうここで勉強やめていいと思うよ。

次に答え合わせ、手元の教科書を調べながら進めます。空欄になってしまった部分は理解した上で回答できるよう、教科書を読んでください。

ここでいきなりGoogle先生に聞いてはいけない。教科書を調べることで周辺に書いてある部分も多少読むことを期待しているのと、手元の教科書の限界を知るためです。そう、おそらくは教科書に答えが載っていない問題もあるんですよね。そのときはGoogle先生に聞けばよいのですが、本番ではそんな問題は捨てます。捨てても90点は取れるはずです。今はもちろん勉強中なので調べますが、本番では捨てるべき問題があるんだということを認識しましょう。

結果的に手元の教科書で大体解けますが、解けたとしても次の範囲はGoogle先生に聞いて最新の内容を得ましょう。故に古い教科書でも問題ないわけです。

  • 統計(看護師国家試験で出てくるもの: 出生/死亡数、死因上位、がんの部位別死因上位等)
  • COVID-19について(感染対策、感染症法と学校保健安全法における位置づけ)

Google先生の答えに厚労省の資料があるときはそいつを読みましょう。過去問の中に妙にわかりにくい表現があるなと思って調べたら、厚労省の資料から抜いたものっぽかったです。

お気づきかとは思いますが、データの鮮度がよくない可能性があるのでChatGPT先生に聞くのはやめておいた方がいい。

Day 2 過去問を解き、調べる(1.5時間)

2日目は一昨年の過去問を解きます。やることは同じ。

Day 3 過去問を解き、調べる(1.5時間)

3日目は3年前の過去問を解きます。やることは同じ。

ちなみに私がかけた時間は1時間ぐらいだったかな。1.5時間を目標に、余った時間を4日目から先出しして、教科書を読んでもいい。読まないで寝てもいい。私はこのタイプ。

Day 4 教科書を読む(3時間)

教科書を頭から読んでいきます。過去問の答え合わせで主要なところは読んでいるはずですが、そこも飛ばさずに。わかっているところはサクサク進むから飛ばさずとも早く読み終えられますよ。

大抵の教科書は単元末にクイズみたいなのがあります。これはきっちり解いてください。解けなければ教科書を戻って調べて。これ重要。教科書を読んだ結果、使える知識が得られたかの確認ですからね。

Day 5 教科書を読む(3時間)

教科書は2日間で読む計画。4日目に大体半分まで読んで、残りを5日目に。

教科書の最後の方にある今後の課題とか国際協力は読まなくてもいいかな。いずれも最初の方にある概論に含まれる程度で十分です。

Day 6 過去問を解く(3時間)

過去問3年分を解きます。大体解けるはずですが、解けないところはやはり教科書に戻って調べて理解して。

多分それだけだと3時間はかからないので、余った時間で教科書の単元末にあるクイズも解いていきましょう。

Day 7 最終セットアップ(1.5時間)

過去問3年分をざっと見渡して、解けることを確認します。あえて解かなくてもいい。

次の頻出分野について教科書をざっと読み直します。太字とか赤字になっているところを追う程度で構いません。

  • 概論(公衆衛生とは、的なところ)
  • 統計/疫学(過去問を解きながら調べたデータも見直して)
  • 感染症
  • 栄養

出題傾向から言うと精神保健も押さえるべきかも知れませんが、精神で出るのって入院形態が主ですからね。あえてやらなくても。

個人的な思いとしてあと1つ足すなら産業保健です。2024年度は出なかったのですが、それまではどこかには出ていました。多くの受験生は学校保健に重きを置くのでしょうが、私は産業保健を重視しています。好きだからってのもあるけどさ。

Day 8 試験当日

路面は雪か氷かだと思うので、気をつけて行ってらっしゃい。

ちなみに開場時間前に行っても本当に開場していないから、ちょい過ぎぐらいの方が寒くないですよ。何なら集合時間になっても説明始まらないからね。こんな試験初めてだったよ。

Q & A

Day 1で過去問を解いて正答率が5割を大きく下回っていますが、大丈夫ですか

大丈夫じゃないよ。と言うか、看護師国家試験を通せるなら5割程度は解けるはず。出願要件を満たしていない。

とまあ厳しいことを言っても仕方ないので、対策。全く解けないのは社会人、現役看護師なんだろうと思う。国家試験直前の現役学生がそれはないだろうと。付け焼き刃で勝負するならDay 6を繰り返す、基礎から固めるなら看護師国家試験の必修問題をおさらいかな。試験まであと1,2週間なのか、1か月なのかで選んだらいいと思う。資格試験でもあってはならないのになくはない場面ですね。つらい。

Day 4, 5で教科書を読むとき、マーカーとかで線を引いたりしながら読むべきですか

いいえ、そんな無駄なことはやめましょう。

教科書は重要なところを赤字や太字ですでに示してくれています。教科書を作るほどの達人がそこが重要だと言っているのです。教科書を読んでなお内容が全部頭に入ったとは言えない我々が異議を唱えるのは無謀というもの。

関連情報を調べて付箋を貼ったりしたい人もいるかと思いますが、これもやめた方がいい。上述の通り、その教科書でカバーできない問題は捨てるという割り切りが必要です。問題数は少なく、出題範囲が広い、この手の試験においては全範囲でそれなりに戦える必要があり、一部を深く掘るのは少ない時間の使い方としてうまくありません。得意を作るより、不得意を作らないことが大切です。

Day 4, 5でノートにまとめたりした方がいいですか

こういう疑問を持つ人に対する答えは、いいえ。

教科書の内容を理解して、自分の知識として使えるようになる必要はあります。それは試験で解答できるということでもありますし、ノートにまとめられるということでもあると言えます。ただ、こういう疑問を持つ人のまとめって、教科書の抜き書きじゃないでしょうか。教科書を閉じて、解説するように自分でノートに書き出せますか。それならやる価値がありますが、教科書を見ながら太字について書き抜くのならやめましょう。時間があるならDay 6を繰り返す方がよいです。

Day 7で見直すべきは学校保健ではないのですか

そう思うならそうしたらいいよ。私もその乗りで母子保健を見直しました。あーあ。

過去の傾向からは出ないと予測される問題が、本当に出ないかはわからないんです。未だ来ないと書いて未来です、わからないんです。それまで勉強してきた感覚から怪しいと思えるところがあるなら、そこを見直すのはいいことだと思います。その予想が当たったときの気持ちよさってのも試験の醍醐味ですしね。

ただ、過去の傾向を分析もしているので、そこはそこで押さえておきましょう。

どうして勉強法を公開しているのですか

楽できる人が多い方が世界は幸せになると思うの。


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別科入試問題なる彼を知る

別科入試特集、第2回。今回は受験した北海道教育大学養護教諭特別別科の一般入学試験問題を分析していきます。

全2回の特集のはずが全3回になりました。

  1. 別科入試特集 第1回 概観
  2. 別科入試特集 第2回 試験問題分析 (この記事)
  3. 別科入試特集 第3回 試験勉強法

一般入試は1科目、公衆衛生のみ

ここは非常にありがたいところですが、次回触れることになるでしょうが厳しいところでもあります。

内容は広さ、深さともに看護学校で扱う教科書でカバーできます。この辺も勉強方法に大いに影響します。

問題構成

手元にある過去問によれば2019年度以降、問題構成は変わっていません。2019年度より前は手持ちが抜けてしまうのですが、2013年度以前は全く異なる問題構成であることを確認しています。

さて、その近年の問題構成はこんな感じ。

  • 問1 (20点)特定領域の多肢択一式問題
  • 問2 (20点)概論、統計を主とした正誤問題
  • 問3 (30点)様々な領域の記入式穴埋め問題
  • 問4 (20点)特定領域の語群選択式穴埋め問題
  • 問5 (10点)特定語句についての記述式説明問題

6割で合格が標準の資格試験脳でこれを見てしまいますと、問1, 4, 5で問われる領域が読めれば負けようがないと思ってしまうわけですが。この入試はそんなに甘くないとは言え、そこがわかればかなり楽なのは確かですよね。

ならば傾向を見てみようじゃないか。

出題傾向

問1, 4, 5でどの領域に出題されているのかを数えてみました。

概論 統計/疫学 感染症 栄養 産業保健 精神保健 学校保健 地域保健 健康教育
2024
2023
2022
2021
2020 ●●
2019
4 3 2 2 1 2 1 1 2

公衆衛生概論からの出題が最も多い。次点も統計/疫学と、公衆衛生学の教科書の序盤だけで戦えるところですね。

ちなみにここに載っていない、出題されたことのない領域は環境保健、成人保健(生活習慣病対策)、高齢者保健、母子保健*1、難病対策。このうち母子保健と難病対策は問2, 3でも問われたことがありません。

今回は母子保健、特に感染症と絡めて梅毒、風疹を軸にTORCH症候群とか出ますよ! って予想して直前のセットアップをした私の立場は何処に。

それはさておき準備は整った。次回は合格するための受験勉強方法について。

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*1:作りの新しいナーシンググラフィカは「親子保健」としていますね。素敵。

3連戦の結果は別科合格から

ただいみゃ。前回「次の試験群を抜けたら」と申したとおり、2週間隔での3連続試験を終えて戻って参りました。

  • 11月12日 第一種冷凍機械責任者試験(札幌)
  • 11月26日 北海道教育大学 養護教諭特別別科 一般入学試験(函館)
  • 12月08日 色彩技能パーソナルカラー検定 モジュール2(札幌)

こんなに詰めるのダメ。ゼッタイ。試験勉強はシリアル、前の試験が終わったら次の試験勉強だったので、気持ちが休まらない。しかも330kmか600kmも離れた試験地への旅で身体も休まらない(と言っている割にはついでに海を渡ったりもしていたが)。これはおすすめできません。

20231125h01

現時点で結果が出ているのは養護教諭特別別科、通称「別科」の合格だけです。一種冷凍が境界線上なんだよなぁという気持ちは抑え、今回から予定としては2回に分けて、私の経験した別科の入試事情と入試対策を書いていきます。別科の入試に関する情報ってウェブ上ではとても少ないので、需要も少ないってことでしょうが、欲しい人に届いたらなと思う次第です。

追記: 全3回になりました。

  1. 別科入試特集 第1回 概観 (この記事)
  2. 別科入試特集 第2回 試験問題分析
  3. 別科入試特集 第3回 試験勉強法

別科って何?

看護師免許を持つ人が養護教諭一種免許状を取得するための1年課程、それが別科こと養護教諭特別別科です。現時点では全国6機関、北海道教育大学函館校山形大学新潟大学、金沢大学、岡山大学熊本大学が別科を有していますが、岡山大学は2024年度を最後に暖簾を下ろすとのことです*1。新潟が50名、他は40名の募集ですから、別科生は全国で250名しかいない珍しい存在です。

ちなみに養護教諭になる主な課程は別科ではなく、4年制大学教育学部に類するところになります。よって保健室の先生多くは看護師ではありません。割と近い印象があると思うんですけどね。ま、ナース服着てないでしょ? ってことで。今時ナースのナース服も絶滅危惧種ではありますが。

入試倍率は?

2024年度の北海道教育大学の場合、推薦が募集20に対し応募31*2、1.55倍。一般が募集20に対し応募および受験46の2.3倍でしたが、合格者数は32でしたので実質1.44倍です。

私は弘前看護学校にいたので、1年通うと保健室の先生になれる学校が函館にあるというのは聞いていましたが、人気はなく同校から近年行った人はいないとも聞いていました。実際のところ、人気があるとはいえないまでも、入試で競争が生じる程度にはなっています。

全国の別科で推薦入試があるのは北海道教育大学だけなので、看護学校から現役で別科に行くなら同大学が一番楽だろうと思います。筆記試験がありませんからね。推薦は学校推薦に限らず勤務先推薦もありなので、そういう人も同じですね。逆に一般入試組は狭き門となるので他の大学を当たる方が戦略としては正しい気もしますが、地理的にどうにもならない人も少なくないのかなと思います。私がまさにそうですが、雪も降るこの時期、北の果てから現実的な休日数で受験できるのは函館の同大学だけでした。首都圏にでも住んでいればどこでも容易に受験できますけどね。募集数より多く合格者を出しているのは、そんな併願勢を織り込んでいるのでしょう。計算上は3人に1人が併願受験で入学しないと見込まれているようです。

受験者は現役学生? 社会人?

一般入試でざっと見た限り、現役学生っぽい人たちばかりでした。まあ、歴の浅い社会人も同じく見えるので、その辺は含んでいただくとして。

いくら1年間とは言え、社会人になってから自力で専業学生やるのは厳しいんでしょうね。他人事ではありません、金銭的に厳しいんですよ。思いつきで受験しちゃったから早くも困ってますよ。思いつきでやるのよくない。

意外だったのは友達同士で話している感じの人たちもいたこと。近年誰も行っていないという学校もあれば、複数の受験生がいる学校もあるんですね。

男女比は?

一般入試において、1:45。病棟看護師的には普段通りで気にならなかったけど、これ、入学後大丈夫なんか。

そもそも養護教諭はほとんどが女性で、その偏りは看護師以上。2019年時点で養護教諭のうち男性は0.12%、全国で86人だとか*3。どうなってるんだ。

ちなみに直前に受けた一種冷凍はほとんどが男性。偏ることが不平等だと私は思いませんが、偏れば不平等だジェンダーギャップだと騒いでいる人たちはこの現実をどうするつもりなのだろうか。

今回はここまで。次回は試験内容と試験勉強について。

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*1:理由は未発表ながら人気がなかったからなのだろう。大学改革支援・学位授与機構によれば入学者数は2021年度20名、2022年度22名、2023年度21名で、募集40名の半分。

*2:あるいはプラス幾人か。合格者番号発表を見て数えているので、最後の合格者番号以降の不合格者数が含められない。

*3:中村千景. 2021. 男性養護教諭に関する研究動向(第2報). 帝京短期大学紀要, 22, 33-42.