夜勤病棟の女神様(仮)

ひよっこナースの日常

医療を巡り見つめる稚内市長選2023

今週末は統一地方選の後半戦として稚内市長選挙が行われます。当blogでは2019年選挙に続き今回も候補者の医療政策についての公約を観察していきましょう。

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今回の市長選は立候補者2名、現職4期目を目指す工藤広(73)と新人の佐々木政美(59)の一騎打ちです。佐々木氏は「稚内を愛する市民の会」の会長であり、市政に対して裁判も辞さない*1対抗馬。まさに一騎打ちであります。

医療は二の次三の次、むしろ圏外である

稚内は医療の具合がよろしくないところです。稚内市*2で眼科、皮膚科、産婦人科泌尿器科すら市立稚内病院ただ1カ所と言えば、その悲惨さがわかるかと思います。例えばコンタクトレンズ作るだけで、大混雑の市立病院外来受診となり1日がかりですよ。その唯一の頼みである市立稚内病院も難儀な状況で、スタッフは常時不足しており、設備は古く貧弱です。

市民もこうした状況をよしとは思っていないようで、医療体制が不安だとか要改善だとか言う声は聞きますし、新聞にもよく出ています。

いきなり引用から始めましたが、この引用元は、先に挙げた2019年選挙の記事です。今も何も変わっていないのでコピペで始めてみました。

そんな中、両者の掲げる医療政策についての公約を見てみましょう。それぞれの稚内市長選挙選挙運動用ビラを参考資料としています。

  • 工藤広
  • 佐々木政美
    • (なし)

あーあー。4年後も書くとしたらコピペからスタートだろうなってところです。医療政策から見れば、どちらを選んでも... いやいや待ってよ。現職の工藤氏には実績があります。

この4年間、稚内の医療に起こったこと

実績をアピールするのはやめた方が良さそうですね。

尤も、4年前の繰り返しですが。この田舎の村社会においては、政策についての公約で当落が決まるわけではなさそうです。

余談ですが、学歴は工藤氏が北大卒、佐々木氏が中卒で、こりゃひょっとするとと思わせる要素です。

え? 私は誰に入れるかって? 一応医療従事者の私が73歳に投票するのはまずいでしょうよ。4年後は後期高齢者だからね、判断力なんか信用できないよ。とゆわけで期日前に59歳に入れました。


投票所でのメモ持ち込み、閲覧は可能だよ。スマートフォンも可、現場で禁止と言われたら選管に確認させよう。

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まだ春の嵐とは呼べない

Good Afternoon from My Window. April 17, 2023

これは今朝、いや、今日の午後、私が起きた直後の写真です。結構雪が残ってますね。

稚内では春の訪れを拒むがごとく冬が戻ってきまして、昨日は予報通りに暴風雪となりました。尤も気温はさほど下がらず日中は1℃台でしたから、雪は重たく、東京で降るような雪でした。

昨日の夜はこんな感じ。

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雪より手強いのは風

北海道遺産でもあり観光資源でもある宗谷丘陵にすら発電用風車を立てさせる稚内は風の街。稚内でCOVID-19が流行らないのはウイルスが風で飛ばされるからだと笑われた時期まであるほど、年がら年中風が強い。街も風には慣れたものとは言え、あまりに強い風には負けてしまいます。

昨日の風がどのぐらい強かったか、アメダスの記録で2023年4月16日の稚内を見てみましょう。

  • 最大風速 21.5 m/s
  • 瞬間最大風速 27.6 m/s
  • 平均風速 14.6 m/s

最大風速で20を超えるなんてそうそうありませんよ。

この強風で困るのは電線が揺れること。電柱を伝ってる電線や通信線が揺れて瞬断するんですよ。

仕事中の病棟でも蛍光灯が消えることが体感でわかる程度の瞬停が繰り返され、ラインインタラクティブの小型UPSがちょこちょこ反応していました。見た限りPCがリブートするほどではなかったのは幸いでしたね。

ここまで読んでIT業界のみなさまは気づいていらっしゃるかと思いますが、病院の電源保護はさほど強力ではありません。無保護のところもあるでしょうし、保護があると言っても停電してから発電機を起動して一部接続を切り替える程度。常時インバータ給電のUPSを噛ましているところななんてあるのでしょうか。電源について言えば、データセンタなんかに比べてずっといい加減ですよ。一応端末で補うようにはなっていて、継続性が要される人工呼吸器なんかは内蔵バッテリで稼働できます。どうでもいいものはどうでもいいやという割り切った設計とも言えますが、実運用でその割り切りが受け入れられるのかは微妙なところ。とは言え停電してしまったらどうしようもないので、2018年9月の北海道胆振東部地震による停電での経験を踏まえて言えば、割り切りを受け入れるほかないといった感じでした。

稚内市街地は瞬停程度で済んでいましたが、近隣では大きな影響も出ていたようです。恐るべし強風。

本日、降雪により、ネットワークが不安定なため、2限目のコンピュータ・アーキテクチャ、情報システム設計論、4限目のメディア・リテラシーの授業は休講となります。 これ以外の授業については、通常通り行います。

Twitter 育英館大学 @wakhok1987 10:31 AM Apr 17, 2023 より)

降雪の影響となっていますが、おそらくは風雪の影響。雪だけでダメなら4ヶ月ぐらいは使えませんから。

自宅の光回線も微妙な具合の時があるんですよね。深追いしていませんが、線が天候に影響を受けているんだろうなと。

【利尻営業所に関するお知らせ】令和5年4月17日 現在、利尻営業所では電話回線、インターネット回線が不通状態となっております。原因は現在調査中です。お客様には大変ご迷惑をお掛けしますが、ご予約などのお電話は礼文営業所や稚内営業所へお掛けくださいますようお願い申し上げます。 #宗谷バス

Twitter 宗谷バス @SOYA_BUS 9:53 AM Apr 17, 2023 より)

島も大変だったようで。島こそ通信回線を絶たれると厳しそう。

2023/04/16 20:29 → 2023/04/17 01:45

停電が発生した住所 稚内市大字宗谷村字増幌

停電発生時の停電戸数 約200戸

停電原因 設備の故障(風雪の影響)

北海道電力過去の停電情報」より)

もちろん停電も出ておりました。


意外と宗谷丘陵そのものは紹介されていない。

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充実の訃報がたったの700円

愛されると言うよりは笑われる地方紙「稚内プレス」に関する数字のお話。

値上げ

この4月から購読料が上がりました。

4月から現行600円から700円に値上げさせて戴くことになりました。

( 「購読料値上げのお知らせ」稚内プレス 2023年3月20日より)

「いたします」と書けばよいものを、小難しい漢字まで使って「させて戴くことになりました」と書くのが稚内プレスらしいですね。値上げした分だけ表現は洗練して欲しいところ。値上げしても日刊紙としては破格の安さですし、新聞はただじゃできませんから値上げは構わないのですが。昨年11月24日よりカラー印刷機を稼働させた際には*1値上げしないと高らかに宣言していた気がしますし、他社の値上げには身勝手と厳しい言葉を浴びせているのに*2、ね。まあこの辺も稚内プレスらしい。

余談ですが値上げ告知号は2面の天地が逆になっています。面付けが自動化されてないのか。

稚内プレス 2023年3月20日

前回の値上げは2016年8月だったので、6年8ヶ月ぶりですか。次は2, 3年後かな?

 先週土曜日の紙面でお知らせしたように本紙の月額購読料は平成4年4月以来、24年4カ月ぶりに改定することになりました。100円上がり600円になります。

 24年前は200円から500円に値上げしたものですから読者の皆さんの反感を買い1カ月で1000部も減少したものでしたが、その後は皆さんの御理解もあり、ほぼ値上げする前の部数に戻ったことを記憶しております。

稚内プレス「時の話題「購読料値上げ」 」より)

脅威のカバー率

4月の支払いに行ったついでに発行部数を聞いてみたところ、6,900部だそうです。稚内市の世帯数が1.7万ですから*3、購読率4割ぐらいですか。凄いですね。東京の日刊紙購読率が4割ですよ*4、たった一紙で同等のカバー率。Catalog Pocketで配信中の無料電子版が好評とも言っていたので、同電子版を乗せればさらに伸びるのかな。

道理で訃報が大賑わいなわけだ。ここに載せておけば稚内中に伝わるもんね。私も訃報を見ては「あー、この人」と思っております。

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締め切りはいつだって背中を押してくれる

本日2023年4月5日、その締め切り日に大学改革支援・学位授与機構へと学位授与申請書を発送しました。

  1. 必要単位を大学で積み上げる(2023年3月まで、終了
  2. 学修成果レポートを大学改革支援・学位授与機構に提出する(2023年4月、終了
  3. 筆記試験を大学改革支援・学位授与機構で受ける(2023年6月)

新しい学士への途」による学位取得に必要なことの2/3を終えたことになります。申請書に不備がなければ、6月に小平の本部で筆記試験です。

やる気相手に苦戦した学修成果レポート執筆

申請に当たってはA4で10~17ページ指定の学修成果レポートが求められます。二種冷凍を終えて11月から手を着けようと思っていたのですが試験後すぐやる気が回復することもなく、12月からと思ったらCOVID-19の院内感染に年休すら返上しての対応でそれどころでなく、1月になり己がコロって休みを得てやっと着手となりました。予定から遅れること2ヶ月ですが締め切りまでも2ヶ月強あるわけで、余裕を持って取り組んでいたらあまり進まず、初稿が上がったのは3月9日ですかね。締め切りドリブンと言いますか、締め切りがないと書けない性格は相変わらずのようです。

レポートのテーマは身体拘束。それをどう執筆できる具体的なテーマにしていくかには悩み、今でもパッとしない感を拭いきれないでいるのですが、ひとまず何とか書き終えました。書きながら目的地を絞っていくような形になったので、なんともまあ微妙なところもあるのですが。結果が出たらその辺も記事にしたいですね。

ちなみにレポート作成には一太郎を採用。今もテキストエディタで原稿を作り始めるやり方なので出番は2月後半か3月だろうと、最新バージョンである2023を導入しました。 大学改革支援・学位授与機構は様式としてWordファイルを提供しており、一般的にはWordなんでしょうね。Wordだからやりやすいという場面のあるレポートでもなく、「40字×30行」なんて指定があるので一太郎で行くかなと。提出がPDFになるので、そこだけは気にしておきました。Adobe CCを使わなくなって久しくAcrobatを失っていたので、JUST PDF 5で対応。一太郎標準のPDF出力機能が手元の環境でうまく動かないんですよね。多分、表示言語を英語にしているのがまずいんだと思う。書体は本文に本明朝-BookとCompatil Text、見出しと表にイワタUDゴシックを用いました。機構様式のMS明朝はさすがにどうなのかな、もう游明朝体にしていいと思うんだけど。

外での執筆のためにはポメラ DM250を導入しました。調べ物がある前半戦では出番がありませんでしたが、キーをたたくのが主になる後半戦では結構活躍してくれました。重量だけで言えばこれも書いているLifebook UH-Xとトントンなのですが、サイズが小さいので持ち出しやすいですね。言うまでもなく、Twitterとか開く恐れがないのもいいところです。

意外と面倒な修得単位申請

学位授与申請最大の敵は学修成果レポートで間違いありませんが、修得単位の申請も結構な難敵です。「新しい学士への途」はあちこちで修得した単位を合わせて学士になるものなので、どんな単位を修得したかは申請者が一つ一つ申告する必要があります。科目区分、科目名、単位数、修得機関、修得年月を一つ一つウェブに入力するのはもちろん面倒なのですが、その証明書を揃えるのもなかなか。高校、大学、専門学校、大学と4カ所から証明書を取り寄せて、とか、このご時世になんとアナログな。これこそマイナンバーをキーに照会できるようになったらいいんですけどねぇ。マイナポイントよりこーゆーとこ頼むよ。まあ、多くの国民は単位修得証明書なんて必要としないか。

証明書の請求方法は学校の規模と相関して楽さが決まりますね。中央大学NTT西日本の証明書発行サービスを使っていて、ウェブ上で完結できて楽でした。私より数年後の卒業生からはコンビニ発行すらできるようですが、ここで言うコンビニは大手3社。セイコーマートしかない稚内では関係のない話です。

次は6月の筆記試験

「新しい学士への途」による学位授与において運営の本気を感じるのは、この筆記試験です。提出した学修成果レポートに関する論述問題が出されるんですよね。つまり、一人一人異なる試験問題。出す方も受ける方も手間がかかる。こう言っちゃなんですが、何らかの学士が欲しいだけなら適当な大学に行った方が楽ですよ。

ま、今回は選択肢がないので。とにかく6月の試験を通すしかありませんね。その前にレポートが通るのかってのもあるわけですが、通らなくても試験はあるからなぁ。


積んでいた本の使い時、あまり活躍しなかったけどここぞで有効だったから無駄遣いじゃない。

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名前は書けた? 稚内看護は0.37倍

今年も最北端、稚内にある稚内高校衛生看護科の入試倍率を肴にしましょう。今年の試験は日付が変わって一昨日、3月2日。先週あたりから気温も上がり穏やかな日が続いておりましたので、今年の受験生は合格者しかいませんね。そう、名前が書けたかが大切なのです。

過去の肴はこちら。

2023年、稚内看護は依然低調な0.37倍

稚内高等学校 衛生看護科 入学者選抜状況

募集人員 推薦標準枠 1次*1 出願者数 *2 1次 受検者数 *3 1次 倍率 1次 合格者数 2次 受検者数 2次 合格者数 入学者数 1次推薦 受検者数 1次推薦 合格者数 1次 一般募集人数 1次一般 出願者数 1次一般 倍率
2023 40 20 13 27 10 0.37
2022 40 20 16 16 0.40 16 0 0 16 6 6 34 10 0.29
2021 40 20 27 27 0.68 27 0 0 27 15 15 25 12 0.48
2020 40 20 24 24 0.60 24 0 0 24 11 11 29 13 0.45
2019 40 20 42 42 1.05 40 0 0 40 9 9 31 33 1.06
2018 40 20 39 38 0.95 39 0 0 39 25 20 20 19 0.95
2017 40 20 53 53 1.33 40 40 23 20 20 33 1.65
2016 40 20 36 35 0.88 35 1 1 35 20 20 20 16 0.80
2015 40 20 33 33 0.83 33 0 0 33 17 17 23 16 0.70
2014 40 20 39 39 0.98 39 0 0 39 18 17 23 22 0.96

北海道教育委員会「高等学校入学者選抜情報」をデータソースとして、「1次 倍率」列および「1次 一般募集人数」列以降は手元で算出、その他はそのまま引用しています。「1次推薦 合格者数」列までデータソースのままとした列順です。2021年の推薦合格者数は「推薦入学確約書提出者数」を入れています。

1次一般で0.37倍、昨年比では微増。当blog観測史上最低の更新は免れたものの、依然として極めて低調です。

稚内高校 衛生看護科 1次一般倍率推移

ちなみに今年も宗谷管内で1.0倍を超えた高校はありません。最高は0.88倍の稚内高校商業科。同普通科が次点で0.75倍。普通科がそれなりの数字なのはともかく、毎年商業科ががんばってるんですよね。この辺は少し深く考えてみるとおもしろいかも知れません。

それでも衛生看護科が維持される理由

定員の半分の確保がやっとなら廃止しちゃえよ、税金の無駄遣いだろ、と思ったけど、まあ20人いれば困ることないか。もちろん教育に金をかけることに異論はなくて、あまりに少ないのだったら奨学金握らせて札幌にでも集めた方がいいよね。でも、そんなことには絶対ならない。10人ぐらいまではがんばるんじゃないかな。

なぜ? そんな話をどこかでしようと思いつつ1年近くが経過したのですが。今もなお学位取得に必要な学修成果レポートに忙しいので、落ち着いたら。


お、社会人入試特集があるんだね。

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*1:1次試験は言い換えれば前期日程。2段階選抜ではありません。

*2:1次 出願者数 = 推薦合格者数 + 一般出願者数。おかしく感じるけど、数字を見る限りこういうことみたい。

*3:1次 受検者数 = 推薦合格者数 + 一般受検者数 。1次 出願者数に準ずる。

第112回看護師国家試験を味わう(1) 洗練された試験問題

去る12日に実施された看護師国家試験。今年もゆるりと味わっていきましょう。

昨年、一昨年と当日の夜か、翌日かには1本目の記事を書いていたのですが、今年は出遅れました。試験問題が見つからなくて。これまでずっとメディカ出版が素っ気ない解答速報ページに載せていた問題を利用していたのですが、今年は同社も「メディカ史上最速」と銘打って解答速報に力を入れて綺麗なページを用意したんですよね。追い出されましたね、何となくあった問題PDF。こうなると弱小プライベーターの私は困ってしまうわけですが、彼らは我々を見捨てなかった。看護教員向け支援サービス ラポールで登録すると問題をもらえるよ。ありがとう、お礼にFitNs.契約するからね。

改めて目的を与えられた試験問題たち

今年もクリアカットな問題が並ぶ傾向は変わらず、昨年に比べてもさらに明快な問題と解答になったという印象。疑義を感じた問題はありませんでしたね。COVID-19が現れるまでは実習経験から考えさせる問題を試し始めていましたが、COVID-19の大流行で実習がほとんどできない受験生も現れてからは単純に知識を問う問題を並べることに舵を切っていました。今年もその方向に進んでいる、まさに進んでいる。昨年まではとにかく暗記した知識を暗記したままに吐き出して解く問題が多かったのですが、今年は多少考える部分を入れてきたり、臨床で役立つところを選んできたりしています。昨年までは問題を途中まで読んだだけで答えていましたが、今年は問題を全部読んで答えることになったとも感じました。とはいえ悩むほどのことではなく、午前午後とも1時間ずつで終えられました。

同じ知識を問う問題でも大幅な書き換えを伴っているものがあり、その書き換えの目的は学ぶべきものが学べているかを測ろうとしているように見えます。問題がやや難化したとの声を聞きますが、これを難しいと感じるようなら受験戦略に誤りがあるのでは。なんて言えるのは試験が好きな趣味の連中だけなのかもしれませんが。

令和2年(2020年)の衛生行政報告例における看護師の就業場所で、医療機関(病院、診療所)の次に多いのはどれか。

(第112回看護師国家試験 午前9より)

一番多い就業場所が問われ続けていましたが、この手の問題は一番を覚えて欲しくて作られているわけではありません。統計の概観を押さえて欲しいわけですし、統計という結果、現状と方針、政策との関係を考えて欲しいわけです。病院から地域へと言う方針も含む、訪問看護ステーションを正解に据えた素敵な書き換えです。

令和元年(2019年)の0歳男児の平均余命はどれか。

(第112回看護師国家試験 午後1より)

午後1と言えば平均寿命と言うぐらいに近年よく平均寿命の問題が出されていました。平均余命と平均寿命の定義についても問われることがありました。しかしこの2つを組み合わせたのは初めてで、この見た目の問題は初めてでしょう。しかしこの高齢化社会で、平均寿命をみるときに看護師が念頭に置くべきなのはまさにこれですよね。85歳の男性を前にもう死ぬ時期と考えるべきではありません。

教養には点数をくれなかった

毎年注目している一般教養問題ですが、今年は見当たらず。240問もあるのだから遊び心を魅せてよとは思いますが、上述の通り洗練された試験を目指して作られたようで、まあ仕方ないところですかね。

我、勝利する

ここまであえて一言も触れておりませんでしたが、予想問題、完全勝利を手にいたしましたよ。いやー、よい読みでしたね。詳しくは次の記事で。


これで勝ちました。

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第112回看護師国家試験 予想問題3問(看護師(17)編)

今回はコロ休みを利用して早めに作ってみました。第112回看護師国家試験、予想問題3問です。

昨年までの分はこちら。

今回112回からは出題基準が変わり、厚生労働省医政局看護課『保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版』が適用されます。示されている概要から注目すべき点を挙げますと。

【必修問題】

○習熟度や難易度を考慮して、必修問題として問うべき内容の精査を行った。また、年の教育現場及び臨床現場の実態を踏まえ、感染防止対策に関する項目の充実を図った。

「習熟度や難易度を考慮して」とあえて書いてあるのは何なんですかね。ちょいちょい出る難度を理由にした採点除外等を減らしていこうという意気込みでしょうか。あれ、点数調整用だと思っていたんですが、違うんですかね。

「感染防止策」は言うまでもなくCOVID-19の影響でしょうね。今度こそ個人防護具の着脱順が出る、かも知れない。

【在宅看護論/地域・在宅看護論】

○改正後のカリキュラムでは、「在宅看護論」が「地域・在宅看護論」に変更となり、科目の位置づけも変更となるが、改正前のカリキュラムの「在宅看護論」と改正後のカリキュラムの「地域・在宅看護論」の双方において適用する内容とするため、制度改善検討部会報告書における「看護師国家試験の試験科目を改正する省令(保健師助産師看護師法施行規則の一部を改正する省令)が施行されるまでの間、出題基準に『在宅看護論』を併記することが必要である」との指摘も踏まえ、表題を「在宅看護論/地域・在宅看護論」とし、位置づけは改正前のカリキュラムにそろえることとした。

○地域における多様な場における対象者や看護の役割の拡大を踏まえて項目の充実を図った。具体的には、地域・在宅看護の対象である在宅療養者及び家族の特徴と健康課題について、対象を取り巻く環境や地域での生活を含めた理解を問うとともに、地域における多様な場での看護の役割や多職種連携について、全体的な体系の再構成を含めて項目を整理・追加した。

最大の変化は在宅。科目が変わっていますからね。示されている「保健師助産師看護師法施行規則の一部を改正する省令」によれば国家試験への適用は来年、第113回からです。なら今回は関係ないかというと、そもそも科目が変わったところで教科書が変わっていないという現実があり、要される内容としては今回も次回以降も、もっと言えば前回も変わらないのでしょう。「項目の充実を図った」って言い方もありますし、問題数として増やすってことかな。そもそも厚労省は半ば慢性的な高齢者医療の提供場所を病院から自宅に移したがっており、在宅の問題は増加していくだろうと見られていたので既定路線ですね。ただ、問題にするとなると制度中心にならざるを得ない内容に感じますので、どう出してくるのかは見物かなと。その辺を織り込みながら予想もしたいですね。

さて、今回は学位取得に向けて新たな教科書を読んだりもしましたので、そこで気になった(と記憶が残っている)あたりで問題を作っていきましょう。

予想問題1 老年/地域在宅

問題1

対象者を一人の人として尊重し、その人の立場に立って考えて行われるケアはどれか。

  1. ベストサポーティブケア
  2. パーソンセンタードケア
  3. レスパイトケア
  4. エンドオブライフケア
  5. グリーフケア

正解1

2

解説1

まあ正解の通りですとしか言いようがないのですが。Thomas Kitwoodのperson-centered careです。内容的には老年と地域在宅にかかってくるところなので、出題基準的にも大変おいしいところかと思います。

1, 2は国家試験ではまだ出ていないはず。逆に3, 4, 5は出ていますね。

Best supportive careは看護学生的にはなじみがない言葉かも知れないのでこの機に押さえておきたいところ。要は緩和ケアなのですが、流行り廃りの問題で今の現場ではBSCと言われることが多いと感じます。私の学生時代にはpalliative care/therapyという表現で見かけました。それぞれ根っこが異なるものの、現時点で行われることは同じく緩和ケアです。

予想問題2 看護学全般

問題2

バイオサイコソーシャルモデルにおけるバイオの側面に該当する患者状況を示す情報はどれか。

  1. IADL
  2. 生活の満足度
  3. 住環境
  4. 友人関係

正解2

1

解説2

BPSモデルとも呼ばれるらしいですよ。まうまう。

1がバイオ、2がサイコ、3, 4がソーシャルに該当します。患者に関する情報はなんであろうとこの3つの側面のどれかに該当してしまうので、適切/不適切を問う問題は作りにくいですね。そこがこのモデルの価値でもあるのですが。

Biopsychosocial modelはGeorge Libman Engelが1977年にbiomedical modelに対する形で提唱したもの *1 で新しくもないのですが、私が看護学生だった頃の教科書で見かけた覚えがありません。国家試験問題でも見たことがありません。ざっととぐぐった感じですと、日本では2010年代後半から流行っているんですかね。今年度履修した精神看護学には出てきており、地域在宅や統合も含めあらゆる領域に関わってくる考え方でもあるので予想問題にしてみました。

なお、カタカナでは「バイオ・サイコ・ソーシャルモデル」と書かれることが多いようですが、上述の通りbiopsychosocial modelですので「バイオサイコソーシャルモデル」あるいは「バイオサイコソーシャル・モデル」が適当でしょう。

予想問題3 地域在宅/統合

問題3

自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、損害を最小限にとどめつつ、ケア等の事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画はどれか。

  1. アドバンス・ケア・プランニング
  2. ビジネス・コンティニュイティ・プラン
  3. 新エンゼルプラン
  4. ゴールドプラン

正解3

2

解説3

「事業継続計画 <BCP>」って表記になるだろうなとは思いましたが、ACPが「アドバンス・ケア・プランニング」として国家試験に出てきていましたので揃えてみました。Google先生に聞いてみると、世間では意外と「ビジネス・コンティニュイティ・プラン」という表記もなされているんですね。なお、問題の定義文には中小企業庁1.1 BCP(事業継続計画)とは」の説明をほぼそのまま使っております。

BCPはあらゆる事業にあってしかるべきものなのですが、看護を含む医療方面ではやや弱い印象があります。どうしてもIT方面を念頭に置いてしまうためそう見えるのもあるのでしょうが。実際に現在のCOVID-19大流行により事業継続が困難な状況が生じているところを見るに、やはり弱いのでしょうね。流行度合いから手が空いた時期もあったのに何をしていたのかなと。

看護方面では訪問看護BCPという言葉が出てくる頻度が高いようで、領域的には地域在宅で扱われています。看護管理でも出てくるよねと積まれた医学書院の教科書『看護サービス管理 第5版』を見てみましたが、索引には出ていませんでした。お寒い事業継続状況の原因はこの辺かも知れません。この現状が望ましいはずもなく、国家試験で問われる可能性はあると予想します。

いつものおまけ

マークシート試験ではちょっと高級な鉛筆がおすすめ。軽くなめらかに太い線が描けます。結果として早く試験を終えられる、つまり、集中力が高いままに問題を解ける可能性が高まるのでこの道具選びは重要。

鉛筆3本と消しゴム1個、手堅く1勝した昨年の私も同様の布陣で挑みました。

製品出荷状態では鉛筆がしっかり削られていますが、前日にでも、当日試験会場ででも、サラサラと線を書いて丸めるべし。マークする部分は結構面積ありますから。

今回の予想問題記事はここまでです。受験生のみなさん、試験終了まで何卒ご安全に。

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