夜勤病棟の女神様(仮)

ひよっこナースの日常

病棟のトイレ事情

新田学園 第二校舎 トイレ周り

いつか書こうと思ってたらちょうどいいニュースがやってきたので、今でしょと。

「職場のトイレが男女共用で、とても苦痛です」「トイレに行きたくても行けない状況でツライ」。インターネット上のQ&Aサイトには、そんな悩める女性たちの投稿がいくつも寄せられています。

職場トイレが「男女共用」、コンビニに駆け込む女性も…法的にはアウト、罰則あり - 弁護士ドットコム より)

そうなのか。そりゃ大変ですなぁ。とわざとらしく頷きながら、今日の話を進めましょう。

法律のおさらい

特に会社勤めの方々は法令で定められていることをご存じかと思いますが、正確な必要数となると覚えていませんよね。てことで、これ。

第六百二十八条  事業者は、次に定めるところにより便所を設けなければならない。ただし、坑内等特殊な作業場でこれによることができないやむを得ない事由がある場合で、適当な数の便所又は便器を備えたときは、この限りでない。

一  男性用と女性用に区別すること。

二  男性用大便所の便房の数は、同時に就業する男性労働者六十人以内ごとに一個以上とすること。

三  男性用小便所の箇所数は、同時に就業する男性労働者三十人以内ごとに一個以上とすること。

四  女性用便所の便房の数は、同時に就業する女性労働者二十人以内ごとに一個以上とすること。

五  便池は、汚物が土中に浸透しない構造とすること。

六  流出する清浄な水を十分に供給する手洗い設備を設けること。

2  事業者は、前項の便所及び便器を清潔に保ち、汚物を適当に処理しなければならない。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47F04101000032.html#1000000000000000000000000000000000000000000000062800000000000000000000000000000 より)

アリー my Love』が日本で流行った頃にも、この法律を脚光を浴びた記憶があります。アリーの勤める法律事務所のトイレは男女共用で、おしゃれなオフィスとして真似をできないかって話だったんじゃなかったかな。

誠に恐縮ですが、この記事はそんなにおしゃれではありません。

病棟のトイレと言われたら多くの人は入院患者用トイレを想像するかと思いますが、今日のネタは職員用です。病棟の職員用トイレなんて多くの人は気にも留めないでしょうが、どこの病院にもちゃんと存在します。

病棟の患者用トイレ事情

本題の前に、みなさんが想像したであろう患者用トイレの話から。病棟は患者が入院するところですから、患者用トイレは「患者」のために作られたトイレです。廊下に面して多目的トイレが設置されていると言えば、今や誰でもわかるのでしょうか。点滴スタンドを連れていたり、車椅子に乗っていたりする方を標準的に考えられて作られています。

お察しかと思いますが、男女共用です。尤も街中の多目的トイレも男女共用ですから、特殊な感じはしません。

ここを読んでいる多くの方は多目的トイレを必要としない方ではないかと思いますが、みなさん、多目的トイレに入ったことはありますか? 入ったことがない方は一度、入って、用を足してみてください。多分落ち着きません。広すぎるんですよね。そして何より、外から容易に開けられるあの設計。繊細な方は用を足せないかも知れません。

とにかく、病棟の患者用トイレはそんな感じです。

病棟の職員用トイレ事情

そして職員用トイレはどんなかと言えば。

割と普通のトイレですよね。みなさんが想像する、その辺にある、トイレ。ただ、ちょっとした違いはあります。

  • 廊下に面して個室が設置されていることが多い
  • 洋式トイレ(便座)
  • 数は少ない、1フロアに1個~数個
  • 男女共用が多い*1

これをちょっとした違いと言ってしまうのは、もう毒されてしまっているのでしょうか。そう、冒頭の引用において「苦痛」とまで書かれていた男女共用が多いのです。しかしそれ故に不評だという話は耳にしたことがありません。*2

なお、廊下に直接個室が面している構造故、『アリー my Love』のようなおしゃれさは皆無です。あれは男女に限らず洗面所で会話できるから様になるのです。単純に便器が男女共用でも、ねぇ。

男女共用でなぜ不評にならないか

病棟の職員用トイレが、男女共用でも不評にならない理由は何なのでしょうか。ぼーっと考えてみて、理由の候補は2つでした。

  1. 女性が大多数を占めるから(9:1とか、そんなだから)
  2. 排泄についての捉え方が独特だから(医療従事者ですから)

私の感覚では、後者なんじゃないかな。学生ですら、トイレが男女共用であることに嫌悪は示しません。それどころか、女子学生が男子学生に、男子学生が女子学生に「トイレ空いてるかなー」*3と話すことすら普通にあるぐらいです。排泄の必要性に男女の分け隔てはなかろうと、無意識に前提を有しているのかなと推察します。

病棟の職員用トイレは合法なの?

事業所のトイレは男女別が法的要件です。例外は「坑内等特殊な作業場」であり、病棟が合致するような条件ではありません。

ではなぜ平気で通っているのかと考えると、トイレの個数を数える際に、患者用と職員用とを区別していないってことなんじゃないでしょうかね。正解は不明です。ちょっと調べてもわからず。ご存じの方がいらっしゃいましたら、教えてください。

ナスたまのお楽しみ

余談ですが、職員用トイレには標語や連絡事項が貼られていることが多く*4、これを見るのはいろいろな病棟や施設を巡る看護学生のちょっとした楽しみです。ところによってはポーチが置かれていることもあり、これが綺麗に並んでいたり、ぐっちゃぐっちゃだったりってのも、学生の話題にはなりますね。

一般のオフィスですと、社員が入るトイレとお客様が入るトイレが分かれていることはまずありません。病院ならでは、ですよね。

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*1:複数個あると女性用が設けられたりする。

*2:身の回りで不評は聞かないということ。世の中に皆無ではなかろう。

*3:個数が少ないことはたまに不評。不思議とさほど不評ではない。

*4:個室に貼られているわけですから、用を足している最中に見ざるを得ません。