温かいご飯が貴重な弘前の冬
私が弘前に来てしょんぼりしたことは3つ。
- 通りに人が少ない。
- 本屋が19時か20時に閉まる。
- ご飯がすぐ冷める。
1, 2は仕方ないけど、3はお前のせいじゃないの? と言われれば、その通りなんですが。私は台所で食事をするので、弘前のお部屋では外気温の影響を強く受けるのですよ。冬、寒い。最初はほかほかのご飯も、食べているとあっと言う間に冷めちゃうんです。せっかく炊いてるのに!
冷たいご飯はおいしくない
冷たいご飯と温かいご飯じゃ、そりゃ温かいご飯の方がおいしいでしょ。と私も思うのですが、なぜおいしいのかを考えたことがありませんでした。実はこのおいしい感覚、人の身体のために重要なことなんです。
もう20年前、1995年に起こった阪神・淡路大震災。直後の混乱の中でも人とは優しいもので、食べ物が配られていました。こんなときはおにぎり大活躍ですよね。作るのも簡単、配るのも簡単、食べるのも簡単。ところが冷めたおにぎりを食べた人がお腹を壊すことが少なくなかったそうです。もちろんおにぎりが腐っていたわけではありませんし、食中毒が発生したわけでもありません。冷めたご飯はおいしくないからお腹を壊してしまったのです。
究極の固く冷たいご飯、精米を食えるか
今、ご飯と読んでいるもの。お茶碗に入ってたり、おにぎりになっていたりするアレは、そもそも米をほかほか*1ご飯にしたものです。
- 玄米を精米する: 精米(元祖固く冷たいご飯)
- 精米を炊飯する: ご飯(柔らかく温かいご飯)
- ご飯を放置する: ご飯(再び固く冷たいご飯)
冷たいご飯がなぜまずいか。実はこれ「精米を食えるか」って話なんですよ。
水と熱で変化するご飯
冷たくて硬い、食べたくない(食べたこともない)精米に、水と熱を加え炊飯すると温かく柔らかいご飯に変わります。この変化は、米を構成する成分であるデンプンの変化なのです。
- 柔らかく温かいご飯: デンプンがα化 → 身体が消化しやすいデンプン「おいしい」
- 硬く冷たいご飯: デンプンがβ化 → 身体が消化しにくいデンプン「おいしくない」
α, βは単なる呼び名みたいです。
デンプンには水と熱によって大きく変化する性質があるため、ほかほかご飯はおいしく、冷めたご飯はおいしくなくなってしまうのですね。一度炊いたご飯でも、冷めて水気が飛んでしまうと、炊飯前の精米と同等に戻ってしまいます。
おいしく食べよう
ご飯に限らず、おいしいものをおいしく食べることは大切なことです。食事療法では常に「おいしい」に気を遣いますし、看護でも「おいしく」食べてもらえるよう環境を整えます。
みなさんも是非、毎日おいしい食事を。あ、食べ過ぎはダメですよ。
*1:柔らかく温かい。固くても冷たくてもダメですよね。